2012 Fiscal Year Research-status Report
暑熱環境下での持久的運動時における脳血流低下のメカニズムを探る
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24700708
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
佐藤 耕平 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (00409278)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脳血流量 / 暑熱負荷 / 持久的運動 / 内頸動脈 / 外頸動脈 / 超音波法 |
Research Abstract |
暑熱(高温)環境下での持久性運動時には、劇的なパフォーマンスの低下が起こる。このパフォーマンス低下の要因として中枢性(脳)疲労が考えられており、これは脳血流量の低下により引き起こされる。しかしながら、暑熱環境での運動時に起こる脳血流低下の詳細なメカニズムは不明であり、このメカニズムの解明は、運動時の脳循環調節、中枢性疲労の要因、パフォーマンスの制限因子を探る上で重要である。本研究の目的は、「暑熱環境下での持久的運動時に起こる脳血流低下のメカニズムを明らかにする」ことである。我々は仮説として、体温調節機能の亢進による「外頸動脈血流量の劇的な増加が、内頸動脈血流量(脳血流量)の低下の要因となる」と考えた。平成24年度は、研究Iとして「運動を伴わない高体温時における外頸動脈血流と内頸動脈の関係性」を明らかにする実験を行った。方法は温水循環スーツによる体温上昇時(~1.5度上昇時)における外頸動脈血流量と内頸動脈血流量を超音波法により定量化し、関係性を検討した。その結果、~1.5度の体温上昇時において、外頸動脈血流量は+139%増加し、内頸動脈血流量は-20%低下した。しかしながら、個人内における両者に有意な関係性は認められなかった。つまり、運動を伴わない高体温時における脳血流の低下は、外頸動脈の血流亢進によるものではない可能性が示唆された。平成24年度は上記の内容を既に、生気象学会にて発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、研究Iとして「運動を伴わない高体温時における外頸動脈血流と内頸動脈の関係性」を明らかにする実験を行った。既に実験は終了しており、学会発表も行ってる。さらに、論文も作成し、現在投稿中である。ゆえに、研究推進状況は極めて順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度における研究計画・方法としては「研究II:暑熱環境下運動時におこる脳血流低下のメカニズムを明らかにする」ことを目的に研究活動を進める。具体的には、暑熱環境(40℃)および冷涼環境下(20℃)における運動負荷実験を行う。この両条件における内頸動脈、外頸動脈血流量を測定する。暑熱環境下においては冷涼環境下に比べ、内頸動脈の低下が顕著で、外頸動脈血流量の増加が大きいと考えらる。両条件の比較を通して脳血流低下のメカニズムがクリアになる。また、暑熱環境下運動の最終局面で顔面を送風・スプレーで冷却し、外頸動脈の血流増加を抑制する。もし、内頸動脈と外頸動脈血流量が関連しているのであれば顔面冷却によって内頸動脈の低下が抑制されると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用は以下の通りである。1.実験の実施に伴う消耗品、2.被験者および検者への謝金、3.データ分析補助者に対する謝金、4.学会発表に伴う旅費、5.論文作成に伴う諸経費、であり適宜配分する予定である。尚、50万以上の設備などの購入は予定していない。
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Research Products
(7 results)