• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

生体メカニズムに基づく生体適応反応と心理指標によるストレス統合評価に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24700738
Research InstitutionAino University

Principal Investigator

林 拓世  藍野大学, 医療保健学部, 講師 (40582862)

Keywordsストレス / 脳・神経 / 情動 / 生体適応反応 / 脳磁図
Research Abstract

ストレスに起因した生体の状態異常は多種多様であり,そのストレス因子は我々の日常生活中に存在している.本研究は,「生体メカニズムに基づく生体適応反応と心理指標による統合的ストレス定量評価」を目的として,当該年次は脳神経活動の解析手法構築とその結果に対する評価を進めた.
実験は視聴覚画像刺激による情動負荷として安静刺激,快刺激,不快刺激の3種類を用い,脳磁図を中心に測定を行った.解析には,外的もしくは内的な刺激により誘発される時間同期の脳神経活動性成分を評価する事象関連電位(event-related potential: ERP),その脳神経活動性において特定周波数帯域を基に解析する事象関連同期(event-related synchronization: ERS)と事象関連脱同期(event-related desynchronization: ERD)を用いた.
事象関連電位の結果,刺激後の100-170msで全ての情動刺激時において両側側頭部で活動性が確認され,さらに不快刺激時は右前頭部から右側頭部にかけて高い活動性が確認された.刺激後の200-300msでは,安静刺激及び快刺激時で中心部から頭頂部に高い活動性が認められ,不快刺激時は快刺激時と比較して両側前頭部で活動性が高値を示した.ERD/ERSにおいてはTheta波(4-8Hz)とAlpha波(8-14Hz)の周波数成分を対象に解析を行い,刺激後の200-900msで両側の前頭部,側頭部,後頭部で情動に伴った変化が認められた.また,安静刺激と比較して快刺激では右後頭部,不快刺激では両側側頭部において有意に活動性が高まっていた.これらの結果より,複数の解析手法を用いることで情動処理を担う領域とその反応性をより多面的に評価されたことから,他の生体情報や心理状態を組み合わせた際の相互関連性の詳細な把握が可能と示唆される.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当該年次において,産業技術総合研究所(以下,産総研)にて情動負荷と注意集中負荷の2種類の実験を進める予定をしていた.そのうち,情動負荷の実験系は刺激内容の検討と実験構成が完了しており,先行して実験を進めている状況にある.加えて,解析方法について手法の確立とその検討を進め,解析結果より情動負荷の種類に応じた有意な反応性が認められている.本結果については,途中の経過となるが,学会にて報告することが決定している.以上のことから,情動負荷に伴った課題については進んでいる状況にあるが,注意集中負荷の実験が遅れている状況にある.実験の準備状況としては,実験に必要となる物品を当該年次において購入しており,その動作は確認済みである.実験の内容については,実験刺激呈示ソフトウェア内に構築及び検討中にある.解析手法については情動負荷と評価を合わせることからも同手法を用いることを予定しており,実験後に解析を進めていく.生体試料測定においては,2種類の実験系が揃った時点で測定を進める予定であったため,同様に準備が遅れている.
以上より,進行状況が遅延していることから現在研究の計画を再検討しており,早期の段階で実行に移す予定としている.

Strategy for Future Research Activity

検討の遅れている注意集中負荷による実験系の構築を早期の段階で完成させ,情動負荷実験と共に産総研にて測定を進める.また,測定されたデータを基に順次解析を行い,生体試料測定と心理学的検査の相互関係性について評価を進める.解析された結果については,学会発表や論文の掲載に向けて準備を進める.
しかしながら,現時点での進展状況が遅れていることから,当初の研究計画から変更が必要になる可能性がある.具体的には,当初の研究計画において解析対象としていた脳波の解析を一時的に保留し,脳神経活動解析の項目を脳磁図に焦点を合わせる方法が現在検討中にある.これにより,解析や検討が必要な項目を特定することで,各項目で必要となる時間の短縮を計る.ただし,修正案よりも順調に研究が進展する場合はこれに限らず,当初の計画に従い,各種生体信号間の関連性を評価するものとして進める.また,生体試料計測について業者委託を予定しているが,試料の個別計測や解析時間の短縮を計る上で大学施設内での計測が有効である場合は,学内での計測も視野に入れて計画している.本計測においては,大学施設で十分に計測可能であることの確認がとれており,計測手法の準備と有効性の確認状況に応じていずれかの手法により計測を進める.
また,今年度中においても複数の学会に参加する予定であり,各専門分野を持つ研究者と交流を持つことで,逐次,解析手法や解析結果に対する検証を進める.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年次における研究計画が当初の予定よりも遅れていることから,実験で使用する生体試料の購入とその計測に対する業務委託が進んでいない状況にある.本物品は一定条件下の保管が必要であり,温度管理などの不備により計測への利用が不能になる可能性があることから,先行して購入することができないことも要因の一つとなっている.
また,当該年次において解析手法の検討を行っており,解析を進めるに当たり,当初の予定よりもより高い処理能力を有する解析用PCが必要であることが判明した.これに伴い,推奨される処理能力の検討を進めていたことから,購入計画に遅れが生じた.
実験系の構築が完了次第,順次測定を進めていく.これに伴い,必要となる生体試料の購入とその計測業務委託,もしくは学内での計測を行うための物品購入を進める.また,被験者を募集するに当たり必要となる諸経費として使用することを計画している.
現時点の解析については申請者所有のPCで行っているが,今後の解析においてより複雑且つ高い処理能力が必要となる演算を行うことから,解析用のPCを別途購入する必要性がある.なお,次年度において国際学会における発表が確定していることに加え,国内の学会についても逐次発表を含めた参加を予定していることから,そのための諸経費として使用することを計画している.

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 Other

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Evaluation of phase-locked and non-phase-locked MEG activities under emotional stimuli2014

    • Author(s)
      T. Hayashi, Y. Mizuno-Matsumoto, S. Kohri, Y. Nitta, M. Tonoike
    • Organizer
      World Automation Congress (WAC) 2014: 9th International Forum on Multimedia and Image Processing (IFMIP)
    • Place of Presentation
      Waikoloa Hilton Village, Kona, Big Island of Hawaii, USA
    • Year and Date
      20140803-20140807
  • [Presentation] 事象関連電位による情動負荷時の脳機能活動変化の定量評価

    • Author(s)
      林 拓世、郡 慎平、新田 佳伯、外池 光雄
    • Organizer
      第43回日本臨床神経生理学会学術大会
    • Place of Presentation
      高知県立県民文化ホール・ザ クラウンパレス新阪急高知・三翠園(高知県高知市)

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi