2012 Fiscal Year Research-status Report
マグネシウム欠乏食短期投与ラット肝臓の栄養素代謝のトランスクリプトーム解析
Project/Area Number |
24700820
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石島 智子 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (80568270)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | マグネシウム欠乏 / 短期投与 / ラット / 肝臓 / 栄養素代謝 / エネルギー代謝 / トランスクリプトーム解析 |
Research Abstract |
本研究では、マグネシウム(Mg)欠乏食投与期間が2週間および1週間(以内)と先行研究の4週間よりも短期のラットの肝臓における発現変動遺伝子の網羅的な解析により、栄養素代謝を中心にどのような変化が引き起こされるのかについて明らかにする。平成24年度は、2週間のMg欠乏食投与を行ったラット肝臓の栄養素代謝に対するトランスクリプトーム解析を行った。 3週齢のWistar系オスラットを正常食で7日間予備飼育後、平均体重が等しくなるように2群に分け、正常食およびMg欠乏食を14日間投与した。 Mg欠乏食投与により血清中Mg濃度の有意な低下が観察され、Mg欠乏が引き起こされていることを確認した。また血清中のトリグリセリド、LDLコレステロールの有意な上昇、グルコース、HDLコレステロール、総タンパク質およびアルブミン濃度の有意な低下がMg欠乏食投与により示された。 肝臓のDNAマイクロアレイ解析の結果、階層的クラスター解析では、正常食投与群とMg欠乏食投与群で大きくクラスターが分かれ、正常食投与とMg欠乏食投与では肝臓での遺伝子発現様式が大きく異なることが示された。Mg欠乏食投与により発現が有意に変化した遺伝子を抽出したところ、脂肪酸およびコレステロールの生合成、解糖および炎症に関係する遺伝子の発現上昇、脂肪酸β酸化、コレステロール異化および糖新生に関係する遺伝子の発現低下がみられた。これらの結果から、2週間のMg欠乏食投与でも肝臓におけるエネルギー代謝全体が変化することが示唆された。またこの変動は、4週間投与時と類似しており、4週間投与で観察された変動は、すでに2週間の段階で引き起こされていることが明らかになった。 今後は、1週間(以内)における解析を行い、経時的な変化を解明していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、Mg欠乏食投与期間が2週間および1週間(以内)と先行研究の4週間よりも短期のラットの肝臓における発現変動遺伝子の網羅的な解析により、栄養素代謝を中心にどのような変化が引き起こされるのかについて明らかにすることを目的としている。また、各Mg欠乏食投与期間[4週間、2週間、1週間(以内)]において引き起こされる栄養素代謝の変化から経時的な変化についても解析を行う予定である。 本年度は、研究実施計画通り2週間のMg欠乏食投与を行ったラット肝臓の栄養素代謝に対するトランスクリプトーム解析を行った。実験準備、動物飼育、生化学データの解析、DNAマイクロアレイ解析については当初の計画通りに遂行されたが、DNAマイクロアレイ解析の結果、得られたデータの量が予想以上に多く、そのデータの解析に予定以上の時間を要した。そのため、本年度内に行う計画であった結果のとりまとめ、次の実験の準備と動物飼育に遅延が生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
進行が遅れている結果のとりまとめおよび論文執筆による結果の公表を取り急ぎ行う。それと同時に本年度内に行う予定であった1週間以内のMg欠乏食投与を行ったラット肝臓の栄養素代謝に対するトランスクリプトーム解析の実験準備、動物飼育についても取り急ぎ行う。1週間以内の解析を行うポイントについては、まず飼料摂取量の低下が引き起こされる前の時点である3日間について解析を行う予定である。その後の解析ポイントについては、得られた結果によって随時検討していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に行われたDNAマイクロアレイ解析の結果、得られたデータの量が予想以上に多く、そのデータの解析に予定以上の時間を要したため、本年度内に行う予定であった次の実験の準備と動物飼育に遅延が生じ、次年度に行うことになった。そのため、実験の準備や動物飼育などで使用する予定であった費用が次年度に繰り越しとなった。 次年度に請求する研究費については、今年度同様主に実験を行うために必要な試薬やGeneChipなどの物品費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)