2012 Fiscal Year Research-status Report
食用魚介類を対象とした新規パリトキシン評価法の確立
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24700857
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shokei Junior College |
Principal Investigator |
相良 剛史 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 講師 (60353132)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食品衛生 / パリトキシン / 質量分析 / 培養細胞 |
Research Abstract |
本年度は、ラットグリオーマ細胞(C6細胞)に対するパリトキシン(PTX)の作用についてPTX標準品を用いて検討を行った。PTX(分子量2680)は0.5 MU/可食部g (5 ng/可食部g) 程度でヒトに中毒症状を引き起こす可能性が示唆されているため、検出下限を1 nM以下とするべく、PTX標準品は0.01~100 nMの濃度になるように調製した。前培養したC6細胞に濃度調整したPTX標準品を添加して、24、48および72時間インキュベーションを行い、インキュベーション後の培地を2%ニュートラルレッド(NR)を含むDMEMに交換して2時間静置した。その後、細胞からNRを1%酢酸-50%エタノールで抽出して、540 nmの吸光度を測定することにより細胞の生残率を求めた。パリトキシン標準品はC6細胞に対して、72時間培養で0.1 nM以下の濃度では生残率の低下は見られなかったが、1 nM以上では0~28.4%の生残率となり、C6細胞はラット副腎褐色腫由来PC12細胞よりもPTXに対する感受性が高いことが明らかとなった。一方、高いPTX生産性をもつ腔腸動物イワスナギンチャクからPTX類縁体を含む精製毒を得るために、その試料を確保した。現在、毒の大量抽出および各種クロマトグラフィーによる精製について検討中である。他方、先に開発したPTXの液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS)による分析法について、外部機関の研究協力の下、検証試験を行なっている。また、LC-MSに供するために有毒魚介類からPTX粗毒または精製毒を簡便に調製するための固相抽出による試験液の調製法も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度途中に所属の異動があったため異動先での研究体制を整えるために時間を要しているが、他機関による研究協力も得られているため当該研究はおおむね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の所属の変更にともない利用可能な機器備品に変化が生じたため、次年度は外部機関に協力を依頼する研究内容を見直す必要がある。培養細胞を用いる研究に関しては所属機関において設備の充実を図っているところであり、次年度中には実験を開始できる見込みである。 一方、質量分析計を用いる研究については所属機関が保有しない機器であることから、当初予定していた協力機関に加えて前所属機関の協力も得る予定である。また、専門業者への依頼分析についても検討しているところである。 他方、研究協力先の1機関については現所属機関の近隣に位置し、以前よりも容易にその設備を利用することが可能となったため、協力機関での実験実施を増加させる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者所属機関の変更により利用可能な設備が一変したため新たに必要となった物品もあるが、その多くは消耗品である。培養細胞を用いる研究は継続可能なため、数種類の初代培養細胞を購入する予定である。 一方、質量分析計を用いる研究は外部機関に研究協力を依頼するが、消耗品に関しては当該研究費により購入する予定である。また、分析専門の業者に依頼分析を行う際にはその委託料が必要となる。動物(マウス)試験についても外部協力機関で行う予定であるが、実験動物の購入については当該研究費より支出する。 他方、外部機関で行う研究が増加するため当該機関を訪問するための出張費の増加が予測されるが、減少する費用もあることから研究遂行に問題は生じないものと思われる。
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