2012 Fiscal Year Research-status Report
遺跡出土試料の複眼的・理化学的解析による中国における家禽化プロセスの解明
Project/Area Number |
24700927
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 動物考古学 / ニワトリ / ガチョウ / 家畜化 |
Research Abstract |
1.中国社会科学院において河南省申明鋪遺跡(BC206-AD8)および河南省山台寺遺跡(BC2300~2000)から出土した鳥類遺体を調査した。申明鋪遺跡からはニワトリが検出された。その形態は、現在一般に飼育されているニワトリに比べ細く、ほぼ並行する弥生時代のニワトリと同程度あるいはやや強い家畜化の傾向を示した。山台寺遺跡からはカラス科やタカ科とともに、キジ科、カモ亜科、ガン族の骨が検出された。しかし、これまでの調査では明確な家禽個体と考えられる資料は認められていない。 2.中国におけるキジ科やカモ科資料の同定のために、奈良文化財研究所、山階鳥類研究所、スミソニアン博物館においてキジ科およびカモ科の現生骨格標本を調査した。とくにスミソニアン博物館ではニワトリの原種であるセキショクヤケイと近縁なハイイロヤケイやアオエリヤケイ、さらに中国に生息するキジ科各種の骨形態を調査し、セキショクヤケイと他種の形態差の検出に努めた。 3.中国の各遺跡におけるニワトリの出土状況や出土した骨の形態との比較のために、大友府内町跡遺跡(大分県大分市・16世紀後半)とカラカミ遺跡(長崎県壱岐市・弥生時代)から出土した鳥類遺体を調査した。大友府内町跡遺跡からは大量のニワトリの骨が検出され、また解体や除肉にかかわると考えられる多数の痕跡も検出された。骨のサイズは弥生時代に比べると大きく、変異も大きかったものの、江戸時代に比べるとその変異の幅は小さいものであった。カラカミ遺跡ではアホウドリ科やウ科などの海鳥とカラス科が主体であり、キジ科やカモ科の出土は認められなかった。 4.これまでの調査結果を整理・考察した。カモ科鳥類の同定に関する論文1本が学術雑誌に掲載された。また、遺跡出土のニワトリやガチョウをテーマに4回(国際学会1つを含む)の学会発表をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国における共同研究者が今年度は多忙を極めたため、スケジュール調整が困難であり、現地調査の回数・日数ともに著しく制限されてしまったため。来年度は改善される見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
中国における現地調査の回数と日数を増やすし、より広範な地域・時代の遺跡資料を分析し、中国における家禽の歴史をより詳細に検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国における現地調査の回数と日数が制限された結果生じた使用残について、次年度の中国における現地調査の回数と日数、および海外の博物館や大学におけるキジ科やカモ科の現生標本の調査を増やすことに使用する。
|
Research Products
(5 results)