2013 Fiscal Year Research-status Report
遺跡出土試料の複眼的・理化学的解析による中国における家禽化プロセスの解明
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24700927
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / ニワトリ / 家畜化 |
Research Abstract |
1.中国社会科学院において河南省洛陽市・偃師商城遺跡(約3600~3400年前)、同二里頭遺跡(約5800~3550年前)、河南省淅川県・下王崗遺跡(約5000~2700年前)から出土した鳥類遺体を調査した。その結果、下王崗遺跡からニワトリの可能性が高い骨を検出できた。偃師商城遺跡や二里頭遺跡では、形態からニワトリや他の家禽の可能性が高い骨は認められなかった。 2.四川省文物考古研究所、四川省中央博物館、金沙博物館において、三星堆遺跡や同金沙遺跡から出土した鳥類遺体や青銅器を調査した。青銅器にはニワトリを模した可能性が高い資料をいくつか確認したものの、調査した鳥類遺体中にニワトリやガチョウなどの可能性が高い骨は認められなかった。 3.中国の各遺跡におけるニワトリの出土状況や出土した骨の形態との比較のために、小竹貝塚(富山県・縄文時代前期)、青谷上寺地遺跡(鳥取県鳥取市・弥生時代後期~古墳時代前期)、土井ヶ浜遺跡(山口県下関市・弥生時代)、カラカミ遺跡(長崎県壱岐市・弥生時代)から出土した鳥類遺体を調査した。このうちカラカミ遺跡からはニワトリの骨が検出された。キジ科の骨には、骨髄骨を含む骨や骨端の未癒合の幼鳥の骨などが認められ、当地で経代飼育がなされていた可能性が指摘できた。他の遺跡では家禽のものと考えられる骨は認められなかった。 4.中国古代のニワトリに関する論文を中国側の共同研究者との共著で発表した。また、これまでの調査結果を整理・考察し、中国の遺跡出土のニワトリをテーマに国際学会1つを含む2回の学会発表をおこなった。さらに、調査した日本の各遺跡について投稿論文や報告書を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中国の共同研究者との綿密な連携のもと、4回の中国での調査を実施できた。これらの調査によって実績の概要で示したような成果が上がり、投稿論文や学会でも多数の発表をおこなえている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以上に中国の共同研究者との連携を深め、研究を実施する。DNA解析や安定同位体比解析もその対象とすべき資料が明らかになってきていることから、積極的に実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA解析や安定同位体比分析などの理科学的分析に適した資料が、当初期待していたほど大量には得られなかったため。 昨年度後半の調査によって、DNA解析や安定同位体比分析の対象とすべき資料が得られたため、それらの分析費用に利用する。また、中国での調査期間や調査回数を当初予定より増やすことを計画している。
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Research Products
(6 results)