2013 Fiscal Year Research-status Report
富士山の永久凍土―その特性・分布・地形変化への影響―
Project/Area Number |
24700943
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 敦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60431657)
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Keywords | 永久凍土 / 微気象 / 地形 / 気候変動 / 火山 |
Research Abstract |
本研究では,国内でもっとも寒冷な環境にあり永久凍土が存在する富士山山頂部において,地温の季節変化・経年変化と,地温を支配する諸要因(気温,日射,降雨,積雪,地盤の熱特性など)を観測し,それらの関係性を定量的に明らかにし,物理探査も援用して,これまで明らかではなかった富士山の永久凍土分布を求める。さらに地形変化を観測し,気候変化に伴う凍結融解状況の変化が,生態学的に日本唯一の上部高山帯とされる山頂部の地盤に与える影響を評価する。 とくに(A)永久凍土分布と(B)永久凍土環境下の崩壊地拡大を評価するために,2年間(2冬3夏),地温と多岐にわたる気象・地質・地形要素を観測し,各要素間の関係式を作成するとともに,GISを用いて空間的に拡張することを目指している。そのために当該年度は,データロガーを用いた地温と関連する気象要素の通年観測および走査型レーザー測量器を用いた再測量(地形変化観測)を行った。地温測器のデータ回収・メンテナンスは,6~10月に実施した。調査の一部はNPOが管理する旧富士山測候所を活用して行った。GISを用いて,山体上の日射量分布と風背積雪域を評価し,その結果に基づき,風衝地の表層地温分布を算出し永久凍土分布を見積もった。また,永久凍土観測点の地温と山頂気温の関係式を求め,測候所の観測記録から,過去の表層地温の変動について推定した。成果の一部の結果は2013年5月の地球惑星科学連合大会での発表した。また2014年6月の第4回欧州永久凍土会議での発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不測の事態で欠員が生じた学内委員に任命され,研究のエフォートが減少し,予定していた物理探査・カメラロガー新設は見送ったが,そのほかの観測データは予定通り,入手し解析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
・ロガーのデータ回収,測器の点検(5~10月)。 ・物理探査による地下情報の取得(8月)。 ・レーザー測量器による崩壊地上部の再測量(9月)。得られた多時期の詳細地形 図を重ね合わせ,落石・崩壊の発生場所・量を見積もる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物理探査を実施しなかったため,富士山頂での滞在および荷上げにかかる費用が大幅に圧縮されたため。 上記,未実施の事項について,実施するために使用する。
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