2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700966
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古室 暁義 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50512274)
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Keywords | 脳腫瘍幹細胞 / TGF-βファミリーシグナル / BMP |
Research Abstract |
脳腫瘍幹細胞の未分化性の維持にTGF-βシグナルが関与していることが当研究室の研究結果より明らかになっている(Ikushima et al. 2009)。一方で、TGF-βシグナルファミリー因子であるBMP (Bone Morphogenetic Protein) が脳腫瘍幹細胞の維持を抑制するという報告がある(Piccirillo SG. et al. 2006)。しかし、その後は研究が進んでおらず詳細なメカニズムは未だ不明なままであった。 前年度の検討で、BMP-4が脳腫瘍幹細胞(TGS-01)の未分化性やいくつかの癌幹細胞マーカーの発現を阻害することが分かった。この結果をもとに、数種類の脳腫瘍幹細胞を用いてBMPシグナルが脳腫瘍幹細胞の維持を抑制するか検討した。その結果、BMP4が癌幹細胞の性質(癌幹細胞マーカーの発現低下やSphere形成能の低下など)の阻害、アポトーシスを誘導することを明らかにし、いくつかの脳腫瘍幹細胞に共通して起こる現象であることを見出した。このことからBMP-4が脳腫瘍幹細胞においてTGF-βとは相反する作用を持つことが示唆された。BMPシグナルがどのように脳腫瘍幹細胞の未分化性や腫瘍形成能を阻害するかを検討するために、DNA microarrayやRNA-seqを行った。その結果、BMPの新たな標的因子の同定に成功した。さらに、脳腫瘍幹細胞の分化や浸潤性獲得に関わると考えられる数種類の候補遺伝子を同定した。そこでこれらの候補遺伝子をノックダウンしてBMP下流での役割について検討を行い、この遺伝子を制御することの有用性を示唆する結果を得た。いくつかの候補因子は数種類の脳腫瘍幹細胞においても同様に、分化や浸潤性獲得に関与することも分かった。現在、解析候補となった遺伝子を新たな分子標的治療のターゲットとして引き続き検討を行っている。
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Research Products
(3 results)