2012 Fiscal Year Research-status Report
淡水環境における藍藻由来有毒物質の分解活性に及ぼす環境因子の解明
Project/Area Number |
24710081
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
清水 和哉 東洋大学, 生命科学部, 助教 (10581613)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 淡水資源 / 浄水処理法 / 藍藻類由来有毒物質 / 微生物機能 / 生物膜処理 / 水圏現象 |
Research Abstract |
国内外において淡水資源はあるものの汚濁進行による富栄養化により有毒藍藻類が増殖し、それらが産生する強 力な有毒物質や浄水処理障害を引き起こすことで安全・安心に用いることができない資源量が増大している。安 全・安心に用いるためには、浄水処理障害を引き起こす有毒藍藻細胞の除去のみならず、有毒物質の除去が極めて重要である。そこで本研究は、microcystin分解活性の制御法を構築するために、室内実験環境および実環境の両面からmicrocystin分解活性に関わる環境因子および遺伝子やタンパク質を同定することを本研究の目的とする。 淡水環境においてmicrocystin分解はmicrocystin分解菌が主要な分解者であることを明らかにしていることから、平成24年度は室内実験環境におけるmicrocystin分解菌のmicrocystin分解活性におよぼす環境因子を探索し、microcystin分解活性が亢進もしくは阻害される因子を同定することを目的として研究を実施した。まず、大腸菌によるタンパク質発現系を用いてmicrocystin分解経路を。その結果、MlrBが、MlrAによるmicrocystin分解産物、直鎖microcystinをtetra peptideに分解し、tetra peptideをMlrCがAddaに分解する。さらに、MlrCは直接、直鎖microcystinをAddaに分解することを明らかにした。また、microcystin分解活性に関わる環境因子の一端を見いだすとともに、microcystin分解菌がアオコ発生湖沼水を処理する生物学的浄水処理装置の生物膜に季節によらず常在していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目的を下記の通りおおむね達成した。 microcystin分解菌の分解経路を推定し、分解に関わるタンパク質を決定した。また、室内実験環境におけるmicrocystin分解菌のmicrocystin分解活性を亢進させる環境因子を見いだした。 以上の成果の一部を、学術誌に原著論文を掲載させたとともに、掲載採択に向けて査読中の原著論文が一報ある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で得た室内実験環境におけるmicrocystin分解活性に影響をおよぼす環境因子をもとにして、 淡水環境におけるmicrocystin分解活性に影響をおよぼす環境因子を同定することを目的とし、モニタリング調査を実施する。また、microcystin分解活性に関与する遺伝子やタンパク質を同定することを目的として、microcystin遺伝子破壊株ライブラリーを作成し、それらを用いて平成24年度で得た環境因子のもとでmicrocystin分解速度を決定し、野生株と比較してmicrocystin分解活性が亢進または阻害されている株を探索する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
室内実験とモニタリング調査の解析に用いる物品費を計上し、年度を通じて使用する。また、モニタリング調査の一部の水質分析業務を遂行するために人件費を計上し、とくに夏期がモニタリング調査の繁忙期のため、夏期に使用する。旅費は、学会参加や研究会参加のために使用する。その他の項目に計上した予算は、塩基配列解析、英文校閲、論文掲載料のために使用する。
|