2014 Fiscal Year Annual Research Report
相関構造をもつ待ち行列モデルと集合的リスクモデルの漸近解析
Project/Area Number |
24710165
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増山 博之 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60378833)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 待ち行列モデル / 集合的リスクモデル / 構造化マルコフ連鎖 / 再生型累積過程 / 漸近解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,相関構造もつ待ち行列モデルと集合的リスクモデルにおける希少事象確率の理論的評価に向け,「ブロック構造化マルコフ連鎖」や「ランダム時抽出された再生型累積過程」などの理論解析を行うことである.前年度までに,「再生型累積過程の重裾ランダム時抽出に対する漸近解析」,「GI/G/1型マルコフ連鎖の劣指数的漸近解析とその応用」および「ブロック単調なマルコフ連鎖に対する最終ブロック列増大切断近似の誤差評価」などの研究を行ってきた.最終年度である平成26年度は,まず,代表的なブロック構造化マルコフ連鎖であるGI/G/1型マルコフ連鎖の定常分布に対する軽裾的漸近解析に取り組んだ.先行研究のほとんどは,非境界状態からの増分分布に付随するある定数が,定常分布の裾減衰率を決定する場合のみを扱っている.一方,研究代表者らは,その定数以外の要素が定常分布の裾減衰を支配する場合を網羅的に調べ,新しい漸近公式をいくつか導出した.さらに最終年度では,「例外挙動を有する反射型ランダム・ウォークの切断誤差評価」に関する研究にも取り組んだ.例外挙動を有する反射型ランダム・ウォークは,ブロック構造化マルコフ連鎖の特別な場合である(ブロックサイズが1).しかし前年度までとは異なり,単調性を前提とせず,「最終列増大切断近似」に加えて,反射型ランダム・ウォークの遷移構造を有効活用する「増分切断近似」の誤差評価も行った.その結果,例外挙動を有する反射型ランダム・ウォークが幾何的ドリフト条件を満たすという仮定の下で,増分切断および最終列増大切断による近似分布と元の定常分布との差を全変動ノルムで測った際の上界について一定の成果を得た.
|