2013 Fiscal Year Research-status Report
亜熱帯型環境共生住宅地の土地利用規制に関する研究―沖縄らしい基地跡地開発に向けて
Project/Area Number |
24710168
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小野 尋子 琉球大学, 工学部, 准教授 (20363658)
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Keywords | 沖縄県 / 環境共生住宅 / 土地利用規制 |
Research Abstract |
地区計画や建築協定における壁面後退距離や空地等のルールには、本来、気候特性が細かく反映されるべきである。除雪スペースの敷地内確保が求められる北方型住宅地の基準、住宅の南面信仰が強い関東の日照条件を担保するための基準、南中高度が高くまた日差しが強いため日照は大きな要求ではなく、通風のための開放性が環境共生上の課題となる沖縄の基準では、必要とする距離や配慮すべき意味が異なる。 しかし、実際に沖縄県下で指定されている地区計画は、全国的な基準を参考として、道路境界側からのセットバック距離が最大で1.5m、隣地境界側で1mが多く、距離の近さから窓を開放できない家も多い。 本研究では亜熱帯性機構に属する沖縄県下における環境共生住宅地と一般市街地を比較し、環境にやさしい持続可能な開発に必要な土地利用規制及び建築計画の関係性について地検を得ることを目的として研究を行っている。 沖縄らしい「開放的な」生活を実現する空地のルールを探るために、空地のパターンの異なる「3つの計画市街地」と、類似する居住密度・敷地規模を持つ「一般市街地」とを対象として、第1段階(H24-25);温熱環境と通風を主とする環境条件の差/第2段階(H25-26);敷地規模や敷地割と壁面後退距離による主観的な視線の気になり方と住宅の開放性 /第3段階(H26-27);夏場のクーラー使用頻度から、計画の有無及びパターン別CO2削減効果と段階的に、比較検討を行う。これにより街区構成とそれに伴う土地利用規制が、住宅地の環境条件にどの程度有効で、それが住まい方にまで影響を与えているのかを考察 今年度は、計画市街地と一般市街地を比較することによって、住宅の開放性に優位な差が見られるかについて検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、3つの計画市街地のうち2つについて調査を終えることができた。近接する一般市街地との差異については、温熱環境条件については定量的に差を見ることができ、暮らし方については、いくつかの指標をもってしてもなかなか統計的に優位な差を見出すことはできなかったが、敷地計画と建築計画の連動性が可能性を持つことが明らかとなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
・第1段階(H24-25);温熱環境と通風を主とする環境条件の差 ・第2段階(H25-26);敷地規模や敷地割と壁面後退距離による主観的な視線の気になり方と住宅の開放性 ・第3段階(H26-27);夏場のクーラー使用頻度から、計画の有無及びパターン別CO2削減効果 この3者の関係を再度検証するために追加的な実測調査を行い、分析結果の精度を高める。 を計画として進めてきた。今年度は昨年度までの調査結果を取りまとめて査読付き学会論文に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
市街地条件別に測定した温熱環境状況が統計的に優位な差が見られるかどうか検討を行った。その結果、優位といえるに十分なデータとはならなかったため、論考で仮説を再度検証するか、または、追加調査を検討する必要がある。 次年度は昨年度までの調査結果を踏まえて、査読論文等に投稿予定である。そのとりまとめにあたり必要な追加調査等を実施する菜の人件費等に使う。
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