2015 Fiscal Year Research-status Report
亜熱帯型環境共生住宅地の土地利用規制に関する研究―沖縄らしい基地跡地開発に向けて
Project/Area Number |
24710168
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小野 尋子 琉球大学, 工学部, 准教授 (20363658)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 亜熱帯島嶼環境 / 環境配慮型開発 / 流域水収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的(申請書より)】申請者は沖縄県が作成する長期振興計画「21世紀ビジョン」の学識検討委員であり、部会の中で大規模基地跡地利用の検討を行なっている。その中で、基地跡地については「沖縄らしい市街地の形成」「環境共生型開発」が文言として位置づけられた。しかし、沖縄本島内で実現された環境共生住宅地における開放性や温熱環境では、必ずしも計画理念が実現されおらず、基地跡地の開発に向けて、環境に共生する沖縄らしい土地利用規制のあり方について検証が必要である。 【今年度研究内容】普天間飛行場基地跡地計画における緑地計画に関する提案型研究: 亜熱帯島嶼地域の環境に配慮した開発について普天間飛行場基地跡地計画を対象に、広域の地下水需給構造の解明による土地利用計画の検証を行った。本年度は、2段階で研究を遂行した。まず、現在の普天間飛行場周辺の湧水量について調査し、現状の流域別土地利用状況から水収支モデルを作成したのちに、湧水量の観測値と水収支モデルから導出される湧水量の理論値の整合性を鑑みながら現在の宜野湾市の各流域の水収支モデルを構築した。次に、家庭及び産業での現在の地下水利用の実態、及び将来需要を調査し、需要量と水収支結果より、普天間内の緑地量と流域別緑地配置の検討を行った。最終的に、県及び市、地主会と水収支や緑地保全の観点から跡地利用について提案・協議した。 【成果】①湧水量と降雨の関係について統計的に有意な回帰式が組めた事、②開発後の土地利用変化により流域湧水量がどのように変化するかについて土地利用計画と連動して分析する事が可能になった事、③基地跡地の開発で現在の利用が大きく妨げられる危険性がある事を示す事ができた事、④③の課題に対して実現可能な範囲で緑地を再配分することにより保全の手だてを提案できた事、⑤今後の跡地利用計画の重要な検討事項として位置づけられた事、があげられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年1月に出産し、平成27年9月末まで産後休業・育児休暇を取得したため、10か月近い休職を挟んでいる。 また、復帰後も保育園等に慣れるまでに病気が多く、学内の教育業務を遂行するので精一杯となる時期があり、結果として、一年最終年度を延ばしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
環境共生型住宅地の温熱環境について、調査結果をまとめ、特に風致地区の状況と比較する。 さらに、環境に配慮した基地跡地開発の在り方として、普天間飛行場及び既に返還され開発された那覇新都心について環境面から検討と検証を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度産後休暇および育児休業を取得し10か月ほど休職したため、次年度に研究を持ち越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費の使用については当初計画の最終年度と同様に遂行する予定である。
|