2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24720019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
大草 輝政 大谷大学, 文学部, 助教 (10552705)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 『メノン』 / 『パイドン』 / 想起説 / プラトン / 分析哲学 / アンティオコス |
Research Abstract |
本年度は主に(i)『メノン』の受容史に関連する文献資料収集,(ii)『メノン』の解説・注解付き翻訳作業の着手,(iii)プラトンの『メノン』『パイドン』を中心とした想起説の射程の再検討をおこなった。 (i)に関しては,とりわけ想起説について,古典期の哲学者のみならず,近世哲学や現代哲学などの文献も含めて調査をし,プラトン哲学の影響を探った。またプラトン研究史をめぐる調査の一環として,とくに1950年から1960年代にかけて(分析哲学の隆盛にともない)起こったとされる古代哲学研究の「変化」について調査し,近年のプラトン研究の流れを整理した。さらに,B. C. 1世紀のプラトン研究状況の調査もおこなった。(ii)に関しては,正確さと読みやすさを実現すべく,他の古代哲学研究者との意見交換を重ねながら,訳出作業をおこなった。(iii)に関しては,2013年2月13日開催の大谷哲学会冬季大会で「プラトンの想起説について」と題する口頭発表をおこない,また雑誌論文として「誰が何を想起するのか - 『メノン』『パイドン』を中心に」(『哲學論集』第59号,pp. 39-54)を提出した。 なお,当該研究の遂行にあたり,日本西洋古典学会(第63回大会,2012年6月,於:龍谷大学)や関西哲学会(第65回大会,2012年10月,於:名古屋大学),その他各種研究会に参加し,意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『メノン』の注解付き翻訳を完成させるという目標については遅れを来しているとも言えるが,それは,当初今年度の予定とはしていなかった(i)B. C. 1世紀のプラトン研究状況の調査や,(ii)1950年から1960年代にかけてのプラトン研究の動向の調査などへの着手を,先におこなったためであり,研究全体としてのペースとしてはほぼ予定通りといえるだろう。なお(i)に関しては『西洋古典学研究』LXI, pp. 167-170(2013年3月)に掲載され,(ii)に関しては,調査報告を脱稿した(出版社に提出済み)。 その他、大谷哲学会冬季大会での発表、および『哲學論集』への投稿などについては,当初予定したとおりに進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は『メノン』の注解付き翻訳を完成させることを,最優先課題として取り組む。具体的な推進方策としては,日本西洋古典学会をはじめ、当該研究に関係する学会に積極的に参加し、専門研究者との意見交換をより密に保つことによって、最新の研究動向把握に努めつつ、『メノン』の特定テーマの追究や哲学史的な調査などをさらに効果的におこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き当該研究に関係する膨大な資料(西洋古典学関係図書や西洋中世・近世・現代哲学関係図書)の収集をおこなう。また,専門の研究者との意見交換のため,国内外の学会に積極的に参加する予定である。
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