2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24720019
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
大草 輝政 県立広島大学, 総合教育センター, 准教授 (10552705)
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Keywords | プラトン / 分析哲学 / オックスフォード哲学 / 徳 / 想起説 / 探求可能性 / 感情 / ソフィスト |
Research Abstract |
本年度は主に(i)『メノン』に関する各種資料収集,(ii)『メノン』の解説・注解付き翻訳作業の継続,(iii)古代哲学関連のアウトリーチ活動,などを中心におこなった。 (i)に関しては,大谷大学図書館や京都大学文学部図書館を利用し,主に電子ジャーナルによって当該研究に関連する文献の調査・収集をおこなった。また本年度は,『メノン』とプラトンの他の作品との関連や,後代における受容史を追う作業も進めた。その結果,『メノン』に見られる「知っていることも,知らないことも,探求不可能である」というパラドクスが,プラトンの他の作品や後の時代に,様々に形を変えて登場することが確認され,偽作と言われている『シシュポス』(e.g. 388b-c)などを含めた相互参照箇所の整理に着手している。(ii)に関しては,昨年度から作業を継続中であり,研究期間内で作業が終わる見込みである。(iii)に関しては,一般向け書籍の分担執筆や翻訳作業を担当し,分担執筆:「プラトンと分析哲学」(『プラトンを学ぶ人のために』,世界思想社),および分担訳:「感情」「ソフィスト」(『スクリブナー 思想大事典』,丸善出版)を,近刊予定としている。 なお,当該研究の遂行にあたり,日本西洋古典学会(第64回大会,2013年6月,於:東京大学)や古代哲学フォーラム(第42回例会,2014年3月,於:京都大学)などに参加し,専門研究者との意見交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『メノン』の注解付き翻訳を完成させるという目標については遅れを来しているとも言えるが,それは,当初今年度の予定とはしていなかった,(i)アウトリーチ活動(一般向け書籍の分担執筆および分担訳)や,(ii)『メノン』を受容史のなかで捉え直す作業,あるいは他の対話篇との関連性において位置づける作業,などを優先的におこなったためであり,研究全体のペースとしてはほぼ予定通りといえる。『メノン』の注解付き翻訳を仕上げていく作業にも,(i)や(ii)を通じて得られた知見は活かされていくことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は『メノン』の注解付き翻訳を完成させることを目標とする。具体的な推進方策としては,日本西洋古典学会をはじめ,当該研究に関係する学会に積極的に参加し,専門研究者との意見交換をより密に保つことによって,最新の研究動向把握に努めつつ,『メノン』の特定テーマの追究や哲学史的な調査などをさらに効果的におこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,勤務先の変更による諸状況の変化に伴い,当初予定していた学会や研究会への参加(特に海外で開催されるもの)ができなくなったため,次年度に繰り越して予算を執行する。 専門の研究者との意見交換のため,積極的に国内外の学会に参加する予定である。また,引き続き当該研究に関係する膨大な資料の収集をおこなう。
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Research Products
(1 results)