2013 Fiscal Year Research-status Report
GHQ占領下「宗教法人法」の起草をめぐる日米の相剋
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24720033
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 節 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (30410294)
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Keywords | GHQ/SCAP / 宗教法人令 / 宗教法人法 / 宗教制度史 / 文部省宗務課 / CIE / 占領期 / 戦後改革 |
Research Abstract |
二年目となる本年度の研究活動は、以下の3点に集約できる。①これまで調査・収集してきた史料の整理・読解。②「宗教法人法」の起草過程のアウトラインをまとめる。③在米史料の調査。 ①昨年度に続き、調査・収集したGHQ/SCAP文書やウッダード文書、占領期に宗教界で出版された新聞・雑誌等を読み、分析を進めた。 ②これまで筆者が進めてきた調査・研究の成果を活用しながら、宗教法人法の起草過程に関する事実関係を整理し、その素描を試みた。その成果は論文にまとめ、「占領期『宗教法人法』の起草過程に関する一考察」(『日本学研究』第16号 平成25年12月)として発表した。昭和24(1949)年夏以降に本格化した同法制定協議の中で、どのような法案が用意され、変化していったのか、その変遷の概略を確認すると同時に、起草議論において、文部省・CIE・宗教界の三者の間で論点となった問題と、その背後に見られる各々の理想とする宗教法人像のズレを具体的に明らかにした。しかし、この論文を執筆した段階では、新しく調査した史料の解読・分析が完了していなかったため、事実の再現という面で、今後補わなくてはならない部分がある。また、考察においても踏み込み不足な箇所がある。このため、端緒の段階の研究として位置づけ、最終年度に成果をまとめる際の足がかりにしたいと考えている。 ③アメリカ国立公文書館にて、SCAP文書の調査を行い、必要な史料を撮影した。特に、数種類ある宗教法人法案や研究ノート、会議録を原本で閲覧し、マイクロフィッシュでは不鮮明で判読不能だった文字を確認できたことは有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ国立公文書館にて調査を行い、所期の史料を閲覧し、デジタルカメラで撮影した。史料調査は計画通り進んでおり、順調である。それに比べ、収集した史料の読解整理がやや遅れ気味である。史料の量が多いので、来年度はそちらに比重を置おいて、研究を進めたい。 これまでの成果の一部を論文にまとめ、発表した。これにより、研究目的である「宗教法人法の起草過程の全容解明」や「同法制定協議に関わった民間情報教育局(CIE)、文部省、宗教界の三者の主張・見解と、その背後に存在した日米間における法観念の相克について、その実相を明らかにする」は、ある程度達成できた。この成果をさらに発展させ、最終年度のまとめに繋げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年は最終年度となる。これまでの調査で収集した史料が多くあるので、その読み込みと分析等の作業を重点的に行う。さらに、その成果を論文にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の3月に渡米調査を計画していたことにより、予定額と実際に使用した額のズレを調整できなかったため。 次年度も渡米調査を計画しており、その費用として使用する。
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Research Products
(1 results)