2014 Fiscal Year Annual Research Report
GHQ占領下「宗教法人法」の起草をめぐる日米の相剋
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24720033
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 節 金沢工業大学, 基礎教育部 修学基礎教育課程, 講師 (30410294)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宗教史 / 日本近現代史 / 戦後史 / GHQ/SCAP / 宗教法人法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる当年は、これまで収集した日米双方の史料を解読・整理する作業を中心に行い、そこから得られた知見を研究成果としてまとめるべく論文の執筆を進めた。特に、GHQ/SCAP文書に内包されている数種類の宗教法人法案を精査・比較し、各案の特徴を確認した。また、CIE宗教課の会議録をはじめとする米国側の文書や、日本の宗教系機関が発行した新聞・雑誌に掲載された断片的で雑多な法案協議記録の整理を行った。年度末には米国のナショナルアーカイブスで史料調査を実施し、必要なものを複写した。 調査の中で、注目した史料の一つは、日本国憲法第20条と第89条の起草に関するケーディス(民政局で憲法案起草に深く関与)の書簡である。これは、1965(昭和40)年6月9日付でウッダードの質問に答える形で返信したものであり、その中で彼は以下のような認識を示している。①憲法第20条の最初の草案起草者は、Lt.Col.Pieter R.Roest、Dr.Harry Emerson Wildesであり、第89条は、Major Frank Rizzoであること。②主要目的は、完全な信教の自由と教会と国家の分離(separation of Church and State)を保障すると憲法に書き込むこと。③神道指令は「これらの条項の表現を決めるのに影響がなかった(not influential)」。 神道指令と日本国憲法の関係性については、先行研究上、重要な論点となっている。このケーディスの証言は、裏付けをとるために更なる検証を要するが、同問題に関する研究を深めていく上で、重要な手がかりになると思われる。
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Research Products
(2 results)