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2012 Fiscal Year Research-status Report

『青い山脈』の系譜学

Research Project

Project/Area Number 24720061
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

千葉 慶  千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 特別研究員 (40440218)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords戦後民主主義 / 石坂洋次郎 / 女性像 / 恋愛 / 日本
Research Abstract

本年度は、次年度の本格的調査に備えた基礎的史料収集に従事した。すでにソフト化されている石坂洋次郎原作映像作品の収集、石坂洋次郎関係論文・著書の収集であり、比較対象となりうる映像作品ソフトの収集である。
特に重要と思われるのは、第一に「青い山脈」「若い人」といった主要作のリメイク毎における表現の変遷である。(入手したヴァージョンに限定しての暫定的なものだが)映像比較によって、前者については初出ヴァージョンに存在した「反暴力=民主主義」の主題および表現が1963年のヴァージョンでは後退していること、後者については、1937年および1952年のヴァージョンに存在したファムファタール的な(反社会的)女性像が、1962年のヴァージョンでは後退しており、逆に戦後民主主義的女性像にひっぱられると同時に反社会性を失った馴化が見られることが確認された。そこには、戦後民主主義の可能性と限界性とが見られると思われる。
また、映画に関する批評史料の調査は次年度に本格的に行う予定だが、予備調査ではすでに、石坂洋次郎映画ブームが量的においては、1940年代後半から60年代にピークを迎えていたものの、質的(批評的好感)においては、50年代末にはピークを終えていたことを確認している。しかしながら、にも関わらずなぜ作品が作り続けられたのか、その内容はどのようなもので、いかなる歴史的評価が可能なのかは次年度の研究において明らかにされなければならない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

石坂洋次郎原作の映像作品のソフト化が一部有名作に偏っているため、入手困難作品については過去にテレビ放映されたエアチェックを愛好家を通して提供を受け、視聴するほかにない状況である。そのため、本年度は関連・比較対象作品を中心に収集せざるを得なかった。ただ、そのようにしたことで当初想定していた以上に、石坂作品の特色が際立って見えてくるという成果も見られた。
また原作の小説についても、ほぼ書店絶版状況にあり、中古でのみ入手可能となっている。幸い、状態を問わなければ流通は多いため、一点一点収集するのみである。
さらに研究計画において想定していた石坂の伝記的研究が史料的に極めて困難であることが石坂洋次郎文学記念館におけるリサーチで明らかになったため。石坂は自身に関する記録をほとんど残しておらず、手紙・日記の類はほぼゼロであった。

Strategy for Future Research Activity

次年度の研究では、第一に未ソフト化作品をフィルムセンターなどに依頼し、映写視聴することを行う。ただし、すべてを見るだけの予算も時間も取れないため、「青い山脈」「若い人」リメイク版の未ソフトヴァージョンを優先し、1960年代までのブームの中で製作されたものに限定することになる。
第二は本年度から継続して、関連作品ソフトを収集することである。石坂作品はもちろん単体で存在しているが、同時代作品の間で消費されたわけで、関連作品との比較は必要不可欠である。特に反「青い山脈」的なるものを強く意識した大島作品との比較は歴史的評価を考えるうえで有効と思われる。
第三は製作者サイドの目から石坂作品を作り続けるに至った経緯や理由づけを再構成することである。実現性は極めて難しいが、日活において石坂作品を多く手掛けた坂上静翁に関する調査ができればと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

具体的な使用計画としては、第一に、フィルムセンターなどにおける上映費謝礼として1回5万円×10回とし、50万円。
第二に、関連史料(映像ソフトおよび書籍代)として、30万円。
第三に、調査・インタビューの必要経費として、ビデオあるいは録音機の機材代を含めて15万円。
第四は予備費・雑費として5万円を予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 失われた戸惑いを求めて 「復帰」前後の沖縄アクション映画・再読2013

    • Author(s)
      千葉慶
    • Journal Title

      歴史評論

      Volume: 753巻 Pages: 35~47頁

URL: 

Published: 2014-07-24  

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