2013 Fiscal Year Annual Research Report
<9・11>以降の米現代小説におけるニューヨークの都市空間表象の諸相
Project/Area Number |
24720123
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
並木 有希 東京家政大学, 人文学部, 講師 (90626194)
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカ現代小説 / 地域文化研究 / 都市と文化 / 災害と文化 / 国際情報交換(アメリカ) |
Research Abstract |
平成25年度は、研究テーマの後半「<9・11>以降の都市:近代都市空間の読み直し」に焦点をあて、21世紀転換期の米文学・文化についての研究を行った。 まず、現代アメリカ小説および映像作品の基本文献を調査し、書誌を制作した。<9・11>事件以降、都市空間がどのように表象され、また、<9・11>の経験が、近代米文学・文化の中で成立した都市空間にどのような再解釈を生んでいるのかを、特に20世紀転換期の都市表象と比較することで検討した。このため、書類整理のための消耗品を購入し、作業補助のTAに人件費を使用した。成果はiafor文化研究学会でポスター発表した。さらに、米国出張の際ニュージャージー州立大学ニューアーク校英文科講師ワイザー氏およびニューヨーク市立大学大学院ドラン准教授と意見交換し、書誌の拡大と共同研究(学会パネル発表・ワークショップ開催)の予定を得た。 この調査の中で明らかになった「精神的外傷と都市空間の表象」というテーマに沿って、家族関係、特に母子関係との関係に着目し、ヘレン・デウィットとジョナサン・サフラン・フォアの作品についての論文を発表した。また昨年度に続き現代日本人作家の作品におけるニューヨーク・アメリカ表象について調査を行い、震災後の日本文化における空間表象について<9・11>以降のアメリカの文化についての考察と比較し、アメリカ比較文学学会全国大会で発表し、論文にまとめた(現在投稿・審査中)。 さらに、昨年開始したデラウェア大学災害研究所ワクテンドルフ准教授との、「災害の記憶と空間表象」についての共同研究を進め、岩手県大槌町および福島県飯館村においてライフストーリーの聞き取り調査を行い、福島大学と東京家政大学が共催のシンポジウムにおいて講演を行った。同研究は平成26年度も<9・11>以降のアメリカ文化との比較の視点を取り入れる形で継続している。
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