2013 Fiscal Year Research-status Report
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24720283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (60376639)
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Keywords | 金石文 / 東アジア / 比較歴史学 / 服喪 / 喪葬令 / 広開土王碑拓本 / 茂野純一資料 / 大谷探検隊 |
Research Abstract |
1、礼制・儀礼文化に関する基礎的研究としては、昨年度刊行の『大唐元陵儀注新釈』での成果をふまえて特に服喪に注目し、日本古代の服喪の制度と実態とを、中国の事例を念頭に捉え直すことを試みた。その成果は、論文「日本古代の服喪と喪葬令」および口頭報告・論文「日本古代の服喪と追善」として発表した。またこれに関連して、服喪に関する史料の訳注や翻刻の作業を開始した。その成果は次年度中に公表を予定している。 2、昨年度に発表した論文「金光図書館所蔵『初拓好太王碑』と「水谷旧蔵精拓本」」について、追加調査を実施した上で大幅に加筆修正し、同名論文として再発表した。また昨年度に調査を実施した大谷探検隊関連資料について、その成果をまとめて論文「茂野純一と第一次大谷探検隊ビルマ・清国南方地域調査」(共著)として発表した。茂野純一は多くの拓本資料も将来しており、本論文は今後の金石文研究に向けた基礎的作業と位置づけられよう。 3、金石文資料やその拓本、その他の関連資料について、国内外での調査を実施した。国内では多胡碑記念館・学習院大学東洋文化研究所・京都大学人文科学研究所・明治大学図書館・奈良国立博物館・奈良県立美術館など、国外では韓国の国立金海博物館や咸安博物館、国立慶州博物館などで調査をおこない、あわせて関連史跡を踏査した。貴重な調査機会を活かすべく、調査対象は当初の予定に拘泥せず、柔軟に変更を加えた部分もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金石文資料に関する調査は、資料の状態や所蔵者の事情により、詳細な調査が困難な場合も少なくないが、本年度は貴重な調査機会を多く得ることができ、研究対象を柔軟に変更することで、その機会を活かすことができた。また礼制・儀礼文化に関する基礎的研究については、本年度は服喪に焦点を当てて検討を深めた。口頭報告の過程で得た多くの助言は、今後の研究の指針となるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
現在準備中の服喪に関する訳注・翻刻の成果は、次年度中に公表を予定している。また本研究課題に関連が深い書籍の書評会も計画しており、その成果もふまえて研究課題をより洗練させていきたい。また在外金石文資料の調査も順次実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に国外調査を予定していたが、家庭の事情により当該時期における実施が困難となったため。残額は、この調査旅費およびそれに伴う物品購入費に相当する。 次年度の早い段階で、上記の国外調査を実施する予定である。
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