2014 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半におけるカナダ製造業の特殊発展過程と英米加経済関係
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24720343
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福士 純 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (60600947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カナダ史 / アメリカ史 / イギリス帝国史 / カナダ製造業者 / 帝国連邦 / カナダ・ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施にあたり、平成26年度は交付申請書に記載した「研究実施計画」に基づき、以下の二点を中心に研究を進めた。 一つ目は、20世紀初頭におけるアメリカ製造業者の動向について検討するということである。この点について、申請者は主にアメリカ最大の製造業者団体である全国製造業者協会(National Association of Manufacturers: NAM)を事例に、当該期のアメリカ製造業者によるカナダ市場への商品輸出、支工場の進出への関心について分析を試みた。アメリカ製造業者に関する史料の検討の結果、アメリカの製造業者にとっては、カナダ市場は重要ではあるものの、他市場に比べて大きな関心を抱いているとはいえず、カナダ市場開拓に関して必ずしも統一した動きを取っていないということを明らかにした。具体的には、米加互恵関税協定締結を推進することによってカナダ市場への商品輸出拡大を考える人々と、既存の米加関税体系の変更を望まず、カナダ国内に支工場を建設することでカナダ市場へのアクセスを図ろうとしていた人々である。 このようなアメリカ製造業者の経済政策志向について、より詳細に知るためには未刊行の史料も網羅的に検討することが必要である。そのため、平成26年度春期休暇中にNAMの未刊行史料が所蔵されているアメリカ、デラウェア州ウィルミントンのハグリー博物館・図書館(Hagley Museum and Library)での調査、史料収集を予定していた。しかし、当該時期に当初の予定よりも校務が多忙となり、海外調査に行くための十分な期間を確保することができなかった。ゆえに、本研究課題の研究期間の延長願を提出し、平成27年度への研究期間延長が認められている。そのため、上記の海外調査に関しては、平成27年度中に行い、その上で研究成果を明らかにしたい。また昨年度の研究業績としては、本研究課題とも大きく関連する単著一冊を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、平成26年5月に単著一冊を刊行することができた。その内容は、大学院生時代からの研究の成果ではあるが、無論この単著にも本研究課題の成果は反映されている。他方、「研究業績の概要」部分でも書いたように、本年度は当初予定よりも校務が多忙となってしまい、予定していた調査を行うことができなかった。そのため、申請時の研究計画に基づいたかたちでの成果を上げることができなかった。ゆえに、研究計画の延長申請願を提出し、すでに受理されている。残された課題については、引き続き今年度検討を続けたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度研究計画どおりに研究を進めることが出来なかった点に関して調査を推進していきたい。具体的には、アメリカの製造業者団体であるNational Association of Manufacturers(NAM)のカナダ輸出、カナダ市場拡大に向けての動向を引き続き検討する。作業計画としては、第一に昨年度に一部検討を終えている同団体の年次総会議事録のマイクロフィルム史料の分析をさらに進める。その上でNAMの未刊行史料が所蔵されているアメリカ、デラウェア州ウィルミントンのハグリー博物館・図書館(Hagley Museum and Library)での調査、史料収集を行い、課題についての検討を進めたい。加えて特に近年、この領域の研究は多く成果が蓄積されており、申請者も今回入手した文献、論文を通して最新の成果を踏まえた上で研究を公表すべく作業に取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、「現在までの達成度」の箇所にて説明したように、春期休暇中にアメリカ合衆国での史料調査を予定していたものの、申請時の予想以上に所属大学での校務が多くなり、史料調査を行うことができなかった。そのため、研究費に残額が生じることとなってしまった。申請書に記載した、当初の研究計画通りの研究の実行、予算の使用を完全にすることはできなかったということは極めて遺憾であり、申請者の計画の見通しに問題があったことを認めざるを得ない。しかし、この昨年度の残予算については、すでに申請の上今年度の研究期間の延長が認められているため、平成27年度に予定しているアメリカでの史料調査のために用いて充実した調査を行いたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
交付していただく研究費の大半は、申請書や上記「今後の研究の推進方策」で記したように、アメリカでの史料調査に用いられる予定である。具体的には、渡航費、宿泊費、史料複写代に使用する予定である。残りは、アメリカ経済史に関連する文献、論文の収集等に充てたい。すでに平成26年度までにアメリカ経済史に関する予備的研究や調査は進めているがいまだ十分とは言えず、二次文献調査にも力を入れたいと考えており、この点にも研究費を使用する予定である。
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