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2012 Fiscal Year Research-status Report

組織犯罪対策に求められる国際社会の協力とわが国の刑事司法

Research Project

Project/Area Number 24730053
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

宮木 康博  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50453858)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsおとり捜査 / 身分秘匿捜査 / コントロールド・デリバリー / 捜査共助 / 司法共助
Research Abstract

2012年度は、「組織犯罪対策に求められる国際社会の協力とわが国の刑事司法」のうち、これまでの諸外国の取り組みの整理を踏まえ、諸外国との連携を模索する前提となる、わが国のおとり捜査について問題の本質を明らかにすることに着手した。具体的には、日本のおとり捜査に関して訴訟法的観点から言及した初めての最高裁決定について評釈を行った(渥美東洋ほか編『刑事訴訟法基本判例解説』〔信山社、2012〕)。本決定が提示した判断基準は、従来の通説的見解である二分説と近時の有力説の客観説のいずれからも説明が可能であるところ、そのことは、逆に両者はその問題関心を異にすることも意味しうるように思われる。おとり捜査問題の本質をどこに求めるか。本評釈をステップに、さらに検討進めていく必要がある。
また、ボーダレスに展開するインターネット上のおとり捜査について、米国の取り組みを検討した。対象の拡散を避けるため、とくに児童ポルノや児童買春を念頭におき、わが国への示唆を模索した(拙稿「児童の保護とインターネット上のおとり捜査」名古屋大学法政論集247号〔2012〕27-51頁)。
さらに、組織犯罪対策としての国際社会の協力を念頭に、国際捜査共助とそこで作成された供述調書のわが国での証拠能力について、判例評釈を公刊した(拙稿「国際捜査共助の要請に基づき作成された供述調書の証拠能力」同志社法学64巻6号〔2013〕359-378頁)。事案は組織犯罪のものではないが、本研究課題にも影響を与える取組みである。とりわけ、獲得された供述証拠の証拠能力については、組織犯罪対策としての有効性が指摘され、現在導入に向けた検討が進められている刑事免責等にも関連する。本研究の目的を達成するためには、当初は明確には念頭においていなかった大枠としての捜査共助や司法共助の視点も加味する必要があると認識した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2012年度は、当初明確には研究対象としていなかった捜査共助や司法共助についても検討を加えたため、おとり捜査プロパーの問題について、日本の議論を整理し終え、論稿等の形で公表することはできなかった。ただ、おとり捜査の判例評釈を書く過程では、調べた多くの素材が蓄積されているほか、捜査共助等の研究が加わったことで、研究目的を総合的に達成するために抜けていた視点を補うことができた。
また、当初の予定通り、ボーダレスに展開する組織的犯罪の1つであるインターネット上の犯罪について、米国のおとり捜査の論稿を公表できた。
その意味で、現状としては、おおむね順調に進展していると自己評価している。

Strategy for Future Research Activity

研究目的および計画の遂行を開始してから1年が経過したが、その間に新たな研究会へ参加する機会に恵まれた。ここでは、比較的自由に自身の研究関心を素材にでき、刑事法学者のみならず、実務家も参加していることから、研究目的達成に向けたチャレンジ期間として、まとめあげる過程を報告するなど、有効に活用していきたい。また、従来の予定通り、各種研究会で報告の機会を頂戴し、刑事法学者および実務家からの忌憚のないご意見を拝聴し、研究に反映させていきたいと考えている。
最終的に、本年度は昨年から積み残した日本のおとり捜査を整理し尽くすとともに、当初の予定通り、身分秘匿捜査の研究にも着手したいと考えている。これらは相関関係があるテーマであり、並行して実施する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費の使用計画については、文献の購入、消耗品の購入、その他の配分は、おおむね当初の予定通りで考えているが、先述したように新たな研究会出張が年に4~5回(東京)加わることなどにより、旅費交通費が超過すると思われ、一部変更を余儀なくされると思われる。この点については、文献購入を該当部分の複写に変更するなどして対応したいと考えている。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (4 results)

  • [Journal Article] 国際捜査共助の要請に基づき作成された供述調書の証拠能力2013

    • Author(s)
      宮木康博
    • Journal Title

      同志社法学

      Volume: 64巻6号 Pages: 359-378

  • [Journal Article] おとり捜査(1)―大阪大麻所持おとり捜査事件2012

    • Author(s)
      宮木康博
    • Journal Title

      渥美東洋・椎橋隆幸編『刑事訴訟法基本判例解説』

      Volume: なし Pages: 22-23

  • [Journal Article] おとり捜査(2)―インターネット上の薬物事犯に実施されたおとり捜査2012

    • Author(s)
      宮木康博
    • Journal Title

      渥美東洋・椎橋隆幸編『刑事訴訟法基本判例解説』

      Volume: なし Pages: 24-25

  • [Journal Article] 児童の保護とインターネット上のおとり捜査2012

    • Author(s)
      宮木康博
    • Journal Title

      名古屋大学法政論集

      Volume: 247号 Pages: 27-51

URL: 

Published: 2014-07-24  

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