2012 Fiscal Year Research-status Report
既判力の作用局面の再検討―訴訟物矛盾関係の整序を中心に
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24730082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八田 卓也 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40272413)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民事訴訟法 / 既判力 / 訴訟物 |
Research Abstract |
本研究は既判力の作用関係について、特に訴訟物矛盾関係の妥当範囲の整序を試みることを目的とする。 平成24年度においては、その研究の第1段階として、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力の拡張のあり方について、日本及びドイツでの議論を整理する形での検討を行った。具体的には、国立国会図書館、東京大学付属図書館、九州大学付属中央図書館等にて、日本民事訴訟法及びドイツ民事訴訟法における既判力の作用関係に関する文献を収集したほか、日本民事訴訟法及びドイツ民事訴訟法に関する文献を購入・講読し、また、既判力の作用関係に関連する問題を扱う研究会に出席の上議論に参加し、知見を得た。以上による研究の成果として、ドイツ民事訴訟法においては、訴訟係属開始時を承継時としており、また、訴訟係属開始後の承継人に対する既判力拡張は訴訟担当のそれの形を取るため問題状況が著しく異なること、日本民事訴訟法下における議論の整理としては、いわゆる実質説・形式説間の対立としては形式説を採らざるを得ないこと、しかし、形式説を採るとすると、前訴が、XのYに対する所有権に基づく土地明渡請求訴訟(請求認容判決が確定)であり、後訴がXの(Yの口頭弁論終結後の承継人である)Zに対する所有権に基づく土地明渡請求訴訟である場合、一般的な既判力の作用関係に関する理解を形式的に適用すれば、前訴と後訴は、訴訟物同一・先決・矛盾関係の何れにも当たらず、そこにおける既判力の拡張は空振りに終わってしまうこと、この空振りを防ぐ一つの手段として、前訴判決の既判力をX所有権に及ぼすことが考えられることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度については、全体の研究の第1段階として口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張にテーマを絞って研究対象としたところ、この問題については、ドイツ・日本双方における議論について従来の議論を十二分に整序し、その後の研究につながる知見を得ることが出来たと考えるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画書の通り、研究を進める。具体的には、平成25年度は、既判力の作用関係、とくに矛盾関係について、日本及びドイツ民事訴訟法における議論の整序を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた理由は、主として、平成24年度において購入を予定していたパソコンの購入を控え、次年度に回した事による。 次年度においては、研究費を、平成24年度に控えたパソコンの購入、日本民事訴訟法関連文献・ドイツ民事訴訟法関連文献の購入、文献収集のための国内出張に主として充てる予定である。また、必要に応じ、海外(ドイツを現段階では念頭に置いている)出張も行う。
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Research Products
(2 results)