2014 Fiscal Year Research-status Report
既判力の作用局面の再検討―訴訟物矛盾関係の整序を中心に
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24730082
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
八田 卓也 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40272413)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 既判力 / 口頭弁論終結後の承継人 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、引き続き、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張のあり方について、日本法及びドイツ法に関する文献を渉猟したほか、既判力の作用関係に関連する問題を扱う研究会に出席し討論に参加する等して、研究を進めた。この問題に関する日本法についての研究は最近活性化しており、それらの業績の成果を整理することも行った。 内容的には、平成25年度において確認した、土地所有権に基づく土地明渡請求権を認容する判決が出されて確定した場合、旧訴訟物理論に立つ限り、基準時に於ける「土地所有権に基づく土地明渡請求権」が肯定されている以上、論理必然的に土地所有権が存在しないということはあり得ない、という理論操作の説明の問題点である、土地所有権に基づく土地明渡請求権を認容する確定判決は、所有権の存在には既判力を生じないとの判例・学説における一般的な理解の妥当性について検討を加えた。 その結果、主として争点効理論の領域で主張されている係争利益の大きさの観点から、かかる一般的理解自体は承認せざるを得ないとの知見を得た。即ち、土地所有権に基づく土地明渡請求訴訟の係争利益は占有であり、それに対して土地所有権確認訴訟の係争利益は所有権である以上、前者の訴訟の方が後者の訴訟よりも係争利益は小さい以上、前者の訴訟の結果として相手方が所有権を争えなくなるというのは不当である。 これに鑑み、かかる一般的理解を承認しつつ、XのYに対する所有権に基づく土地明渡請求訴訟認容判決確定後にYから土地譲渡を受けたZとの関係で、Xは自己の所有権を不可争とできるとする内容の理論構築の必要性を今後の課題として確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において次年度の課題として設定したものを一応解決し、また平成27年度の課題も設定できているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、土地所有権に基づく土地明渡請求権を認容する確定判決は、所有権の存在には既判力を生じないという既判力論における一般的理解を前提としつつ、XがYに対して所有権に基づく土地明け渡し請求訴訟で勝訴確定判決を得た場合に、当該訴訟の口頭弁論終結後にYから当該土地の譲渡を受け占有を譲り受けたZに対し、Xが所有権に基づく明け渡し請求訴訟を提起したとき、前訴請求認容判決の既判力が後訴に作用するかを、既判力の作用関係を整序しつつ、検討する。方法としては、ドイツ及び日本の民事訴訟法文献を講読することによる。
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Causes of Carryover |
時間があれば実施しようと考えていた海外出張が、時間的余裕がなくて実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外出張を実施するか、それが時間的余裕を欠いて無理な場合には、海外文献の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)