2015 Fiscal Year Annual Research Report
夫婦財産制の基礎的研究~婚姻形態の多様化に着目した比較法研究
Project/Area Number |
24730084
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松久 和彦 香川大学, 法務研究科, 准教授 (90550426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民事法学 / 夫婦財産制 |
Outline of Annual Research Achievements |
婚姻形態の多様化という社会状況の変化の中で、夫婦の財産関係に関し、どのような法規定、法制度を設ける必要があるのか、ヨーロッパの議論状況を参照に検討を行った。具体的には、①婚姻の一般的効力(基礎的財産制)として、どのような規定が設けられているのか、②夫婦財産制及び夫婦財産制の清算方法としてどのような方法を採用しているのか、③公平な清算を実現するために、どのような工夫を行っているのか、④これらを法制度として実現する上で、どのような規定を設ける必要があるのかである。 このような課題に接近するために、ドイツの夫婦財産制を中心に検討した。また、ドイツの議論にも影響を及ぼす、ヨーロッパの動向にも着目した。ヨーロッパ家族法委員会(CEFL)及びドイツとフランスの間で締結された約定夫婦財産制に関する条約を検討の素材とした。 これらの検討から、①婚姻形態の多様化に対するドイツにおける法定財産制の枠内での判例・実務の対応、②夫婦財産契約をはじめとする、夫婦間の合意締結の際の対等性の確保、③合意内容の公平性を確保するための財産開示制度の必要性とその運用状況、④ヨーロッパにおける上記課題についての対応を明らかにすることができた。 本研究によって明らかになったドイツ及びヨーロッパでの対応は、日本ではこれまで明らかにされていなかったものである。また、これらの法制度は、婚姻共同生活の経済的基盤の安定のために必要となるものである。夫婦の生活実態やライフスタイルの選択と男女の実質的な平等の実現とを調和する夫婦財産制を構築する上で、必要不可欠な課題を明らかにすることができた。
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