2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730085
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
藤原 究 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (30612569)
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Keywords | 法人 / 宗教団体法制 / 公益法人税制 / 公益性 |
Research Abstract |
本年度は、3つあるサブテーマのうち、②宗教団体の収益活動と税制上の取扱いと③宗教団体運営の透明性と公益性の2点を主として検討を行ってきた。 ②のサブテーマについては、「宗教活動」、「公益活動」、「収益活動」が存在する。宗教団体の税制上における取り扱いについては、収益を対象とする所得課税と資産課税の両面において宗教団体の活動や事業を峻別してその宗教性・公益性を判断することとなっている。しかし、一体として行われることの多い宗教団体の宗教活動と経済活動を現在の基準によって明確に区別することは難しいという実情がある。本年度においては、宗教団体による収益活動と税制上の取扱いを念頭に、宗教団体の収益活動の現状と団体経営について、その他公益法人との間の距離感や特異性の検討を行った。さらには、アメリカにおける法制度を参照しながら、宗教団体を取り巻く法制・税制の状況から問題点を洗い出し、「聖」と「俗」が法制度にどのような影響を及ぼしているかについても検討を行った。宗教団体における公益性に着目し、公共財の一翼を担う文化的伝統的価値をもつ組織体としての側面と、他方で他の法人同様の経済主体としての実質ももつ企業体としての側面とで、その実体に即した税制上の取扱いをすべく再検討の必要性があるという点で一定の結論を得た。 ③のサブテーマにおいては、宗教団体運営の透明性について現行法上の情報開示や公益活動の規模・程度についての調査を行った。特に外的活動としての公益活動がどの程度行われているかを東日本大震災時の活動を中心に検討した。同時に情報開示の状況についても検討を行い、公益性と情報開示の間に一定の関連性を見出すべきことについても指摘を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね順調に研究を進行することができたが、当初予定されていたアンケート調査において、予定されていた宗教団体からの協力が得られないこともあり、大幅に予定を変更しなくてはならなくなった。ただ、現状調査の体制は整っており、翌年度中に有効な調査を行うことができるようになっているため、回復は可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、宗教団体の公益活動をどう捉えるのかを中心に検討を行っていく。具体的には、これまで明らかにしてきた宗教団体の行っている公益活動の現状を踏まえながら、実際はどのような公益活動が望まれる状況にあり、それを可能にするためにはどのような法的支援が必要であるかについて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、宗教団体や信者組織等にアンケート調査を行う予定であったが、事前の問い合わせの中で協力を期待できる団体が非常に少なく、有効な回答数を確保することが難しくなった。さらには、関連資料の収集も困難であることが明らかとなったため、信者・非信者を問わない形でのアンケート調査を年代別・世代別に行うことで、宗教団体に対して求める公益性を描出することができると考えた。しかしながら、こうした調査を行うためのアンケート項目を新たに作成する作業等に追加的な時間が必要となっている。 未使用分はすべて、未入手の書籍資料の購入とアンケート調査に関する委託費、その他関連費用として利用する予定である。
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Research Products
(2 results)