2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730085
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
藤原 究 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (30612569)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宗教法人 / 公益性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、宗教団体の公益活動をどう捉えるのかを中心に検討を行った。具体的には、これまで明らかにしてきた宗教団体の行っている公益活動の現状を踏まえつつ、実際に社会的に必要とされ、望まれる公益活動とは何であるかについて検討を行うため、大規模なアンケート調査を行った。このアンケートにおいては、信者・非信者を問わない形で年代別・世代別に調査を行い、宗教団体に対して期待する公益活動の内容やあり方についてを明らかにすることができた。これにより、宗教団体の行う公益活動が社会一般に求められる公益活動や宗教団体に期待される公益活動とは大きく異なるということが明らかになった。さらに、宗教団体そのもののあり方や期待される姿勢についても知ることができた。こうした点を踏まえて、宗教団体に対して真に必要な法的な手当ての形についての検討を行った。 研究期間全体を通じて、わが国における宗教法人法制を考える上での重要課題である宗教団体活動の「神聖性」と「世俗性」について多角的な分析を行った。宗教団体の活動による被害に対して、その行為についての評価を通じた責任を負うことが求められることについて指摘した。さらに、税制上の優遇については、非課税の根拠における不明瞭性や献金の提供者側に対する保護の不足などの問題点が判明した。そして、宗教団体の情報公開については、信者以外の市民からもその開示が強く望まれている部分でもあり、宗教団体自らが自浄作用を発揮し、積極的な情報開示を行うとともに、その信頼を自ら構築する努力の必要性を描出した。こうした点を背景として、宗教団体はその公益性について、より市民に寄り添う形で貢献することが求められており、特殊な宗教的・文化的背景を持つわが国において乗り越えるべき課題を多く析出することができた。
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