2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル・ジャスティス運動が世界政治に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
24730151
|
Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
五野井 郁夫 高千穂大学, 経営学部, 准教授 (50586310)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グローバル・ジャスティス運動 / 直接民主主義 / グローバル市民社会 / グローバル・デモクラシー / 国際規範 / 類縁集団 / サイバー・スペース / 動員 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度であった本年度は、1989年にベルリンで開始されたNGOや労働組合等に依拠しない、文化を通じた政治動員によるグローバル・ジャスティス運動と国際規範形成の最大の形態であったラブ・パレードの25周年だったため、同運動が現代世界政治に与えた影響に関するフィールドワークを行うとともに、香港で発生した学生らを主体としたオキュパイ運動の現地調査にも成功し、多くの成果を上げた。 フィールドワークを通じて、これまでのアラブの春、スペインのM15運動、ニューヨークのオキュパイ運動や台湾の立法院占拠抗議に共通する、サイバー・スペースを通じたアドボカシーと動員というグローバルな「社会運動のクラウド化」の実体把握につとめた。それとともに、一般市民からなる類縁集団ベースでの非NGO組織型の規範形成がブーメラン効果を用いて国際社会へ喚起し、反応が国内へ環流することで国内・国際の両規範が形成・強化される現象の動態分析を行った。 一連の調査と分析の結果、既存の社会運動論の理論的な刷新をさらに洗練させるための手掛かりと現象面での裏づけも得ることができた。くわえて、これら調査研究を通じて、「非暴力」「公正」そして「民主主義」等のグローバル・ジャスティスにまつわる政治理論の規範が、現実の世界政治における具体的な現象と強い紐帯がある点を見出すことができた。 また研究成果の一部については日本政治学会の英文年報雑誌であるJapanese Political Science Reviewの2014年号での巻頭掲載をはじめとして、数多くの学術雑誌等で公表した。さらに日本記者クラブ、国際公共政策学会、ヴェネチア建築ビエンナーレのワークショップ「ヨーロッパの未來」でも報告等を行う機会を得た。日本弁護士連合会や各種新聞メディア、NHK等のテレビ番組でも公表し、アウトリーチにもつとめた。なお同成果の一部はさらに研究を深め、来年度に角川インターネット講座等に寄稿予定である。
|