2012 Fiscal Year Research-status Report
スコットランド啓蒙における道徳と市場経済の把握-アダム・スミスと穏健派を中心に
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24730187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
古家 弘幸 徳島文理大学, 総合政策学部, 講師 (30412406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / イギリス / 経済思想史 / スコットランド啓蒙 / アダム・スミス / 美の哲学 / トマス・ヘップバーン / パンドラー訴訟 |
Research Abstract |
アダム・スミスにおけるストア哲学の受容、およびそれがスミスの『国富論』における経済学の言語の形成に果たした役割についての英語論文‘Beauty as Independence: Stoic Philosophy and Adam Smith’を執筆し、The Kyoto Economic Review, 80(1)に発表した。この論文により、スミスに先行したハチスン、ヒュームの著作を踏まえた上で、スミスにおける近世市場社会の認識の特質を明らかにする端緒とすることができる。 並行して平成24年5月の欧州経済思想史学会 (ESHET, St Petersburg, Russia) において、‘Beauty and Economy in Adam Smith’との題目で個別研究報告を行った。この研究発表により、スミスの『道徳感情論』で提示された美的判断の理論が、やがて『国富論』において、スミスによる経済分析のベースを提供したという、従来あまり注目されることのなかった側面を明らかにする出発点とできる。 11月には、‘Working the Peripheral into the Picture: The Case of Thomas Hepburn in Eighteenth-Century Orkney’との題目で、欧州経済思想史学会アルゼンチン大会 (ESHET-Argentina, Meeting of Historians of Economic Thought from Europe and Latin America, UNGS Political Economy Department and CEFID-AR, Buenos Aires, Argentina) において、個別研究報告を行い、前年に出版に至ったヘップバーン研究の成果を南米の研究者に披露することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「平成24年度の研究実施計画」の通りに、英語論文‘Beauty as Independence: Stoic Philosophy and Adam Smith’の執筆・出版、欧州経済思想史学会 (ESHET, St Petersburg, Russia) における個別研究報告、および欧州経済思想史学会アルゼンチン大会 (ESHET-Argentina, Buenos Aires, Argentina) における個別研究報告を行うことができたため、研究は順調に進展していると見なしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年5月の欧州経済思想史学会 (ESHET) と、平成25年6月の北米経済学史学会 (HES) における個別研究報告をもとに、スミスの『道徳感情論』における美的判断の理論についての論文を、英語および日本語で執筆し、発表できるように努める。英語論文については、The Journal of the History of Economic Thought (Cambridge University Press) の査読を通過し、修正中である。原稿を完成させ、出版に至るように取り組む。 並行して、平成25年5月の欧州経済思想史学会 (ESHET) における個別研究報告をもとに、オークニー諸島のパンドラー訴訟を巡る経済論争について、啓蒙思想の「改良」の概念が様々な対立を生み出した側面を明らかにしつつ、英語および日本語で論文を完成できるよう取り組む。英語論文については、The Scottish Historical Review (Edinburgh University Press) の査読を通過し、修正中である。原稿を完成させ、出版に至るように取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年5月の欧州経済思想史学会 (ESHET) における個別研究報告を行うため、会場のキングストン大学が所在するイギリスのロンドンへ出張を予定している。また6月の北米経済学史学会 (HES) における個別研究報告を行うため、会場のブリティッシュ・コロンビア大学が所在するカナダのバンクーバーへ出張を予定している。上記の学会出席のための出張費が、使用予定の研究費の最大部分を占める。 また、The Journal of the History of Economic Thought (Cambridge University Press) および The Scottish Historical Review (Edinburgh University Press) へ掲載予定の英語論文の校正のための費用も計上予定である。予算が許す範囲で、研究文献の購買も引き続き進める。
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Research Products
(9 results)