2012 Fiscal Year Research-status Report
発明者・研究者レベルのデータを用いた研究生産性の決定要因に関する研究
Project/Area Number |
24730229
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
大西 宏一郎 大阪工業大学, 知的財産学部, 講師 (60446581)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 発明者 / 生産性 / 特許 / 学歴 |
Research Abstract |
企業内研究者のライフサイクルでの発明生産性の決定要因に関する研究を進めた。以前から進めている研究から、企業内研究者においては、課程博士出身者の生産性が総じて高く、論文博士取得者、修士号取得者、学士号取得者の順に生産性が低いという傾向が明らかとなっている。その上で、論文博士号取得者はもともと修士・学士号取得後に民間企業に就職し、その後に改めて博士論文を提出しているケースが多いと思われるが、論文博士号論文取得前後で発明生産性に顕著な差は見られないという研究結果を得た。この結果は、博士号取得を持って処遇や配置転換等に非連続的な転換が行われるというわけではなく、むしろ取得以前から能力に基づいて評価されていることを示唆していると言える。学歴と発明継続期間の関係について分析した結果、論文博士号取得者、課程博士出身者、修士号取得者、学士号取得者の順に発明継続期間が長い傾向を持つことが示唆された。このことは、就職後に論文博士号を取得することが、その後の研究キャリアパスに何らかの影響を及ぼしていることがわかる一方、高学歴取得による発明開始期間の遅れを、発明期間の延長によって補っている面があることも明らかとなった。 特許データの名寄せ作業については、以前に作成した上場企業に関する名寄せデータを2010年末のデータにアップデートする作業を行った。また、その過程で、合併や社名変更等に伴う企業名の変遷毎に固有の番号を付与し、その取り扱いを明示的に行えるように仕様を変更し、名寄せデータの利便性の向上に努めた。本データベースはインターネット上で公開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者のライフサイクル生産性の研究が順調に進み、無事ディスカッションペーパーにまとめることができている。また、発明者の名寄せ作業の前提となる出願人の名寄せをほぼ終了させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
出願人の名寄せデータベースを基にして、発明者の名寄せ作業を段階的に行っていく。前回までは、単一企業に所属した発明者のみを使って分析していたが、企業間の異動を含めた分析を行えるように、発明者の異動を考慮した名寄せ作業を行っていく予定である。その上で、発明者の異動や報奨制度等がどのように研究者の行動に影響を与えているのかを明らかにしていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
企業の財務データベースが想定していたよりも安価で購入可能であったことが、繰越が生じた主な要因である。 次年度の研究費の使用計画として、来年度以降の分析のために財務データのアカウントの延長、台湾等で開催される国際学会や国内学会での研究成果の発表のための旅費、研究関連の書籍購入等を予定である。
|
Research Products
(3 results)