2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国における農村から都市への労働移動が彼らの子供の人的資本形成に与える影響
Project/Area Number |
24730239
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
山内 慎子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50583374)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 移民 / 中国 / 人的資本 / 教育 / 健康 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国において農村出身の労働者が都市へ移住することによりその子供たちの人的資本形成にどのような影響が生じるかを分析することを目的とした。農村からの労働力は中国の経済成長を支えてきたが、農村に残った子供は親と離れることから生じる問題を抱え、学力低下や健康状態の悪化が懸念されている。我々は独自のパネルデータを使い、計量経済学的な実証分析を行った。その結果、父親の出稼ぎ期間が長いほど子供の背が低い傾向があることが分かった。身長は幼少期からの栄養状態を反映することが知られており、父親が出稼ぎに出た家庭では栄養状態が芳しくなかった可能性が考えられる。また、こうした家庭では子供の学業成績も低い傾向が見て取れた。これらの結果は、親の出稼ぎから生じる身体発育の遅れが学力の遅れにもつながる可能性を示唆していると考えられる。これらの結果は数々の学会で報告され国際的に広く発信された。 研究期間は当初平成24-25年度の予定であったが、予定されていたワークショップに招聘する中国専門家の日程調整がつかず、本研究も三年間に引き伸ばされた。平成26年5月20日に中国や移住の研究に関するワークショップを、21日に一般の参加も含めた中国の将来に関するシンポジウムを開催した。国際的に著名なアメリカ、スタンフォード大学のS.ロゼル教授や香港科技大学のA.パーク教授らを招聘し、日本の優れた研究者にも参加してもらうことで、研究者の国際交流に大きく貢献したと思われる。21日には両氏と研究協力者であるオーストラリア国立大学のMeng教授の三氏を迎え中国の移住問題や発展政策の将来に関する公開講演を行った。参加者には研究者や学生のみならず各国大使館員や中国関連の業務を行う公務員や非政府団体の方々も含まれた。これは幅広い層が中国の今後に興味を持っていることを示しており、本研究のシンポジウムはこの需要に答えたと思われる。
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Research Products
(3 results)