2013 Fiscal Year Research-status Report
公企業の効率性:証拠に基づいた医療システムのガバナンスの検証
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24730351
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小島 愛 立命館大学, 経営学部, 准教授 (80513192)
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Keywords | 公企業経営 / ガバナンス / 医療システム / 効率性 / 意思決定 |
Research Abstract |
今年度は、イギリスの公企業のデータの収集および編集作業を行った。検証するテーマ内容のうち、公企業に対する予算の増額に伴って、その傘下の地域統括組織がどのような予算配賦を行うようになったか、に関しては、データを公開していなかった地域統括組織への問い合わせも行ったため、ほぼデータが揃った。また、地域統括組織に対する予算増額率と、各地域統括組織の経営陣に対する報酬増額率との関係についても、経営陣の氏名や経営陣の報酬を経年的に一般公開していない場合に別途問い合わせを続けている。さらに、地域統括組織に対する予算増額に伴う、下部組織の従業員数や雇用形態などの変化を調査しているが、閉鎖や移転、合併をした下部組織が多く存在することから、各地域統括組織もしくは各下部組織に対して問い合わせを続けている。上記の作業とともに、文献レビューなどを行っているので、データが揃い次第分析を行い、論文執筆を行う。 上記と併行して、日本へのインプリケーションを導くために、公的資金を用いながら社会サービスを運営する組織の運営を日本を中心に検討し始めた。とりわけ、日本の介護保険財政下の高齢者入所施設の効率性を分析するため、データセット作成を始めている。各高齢者入所施設がどのような経緯で非効率経営を行いがちであり、どのようなガバナンスを行えば入所者に十分なサービスを提供できるのかを明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリスの公企業であるNational Health Serviceに関するデータに関して、問い合わせ先の担当者の変更や組織の改編などがあり、データの収集と編集に多くの時間がかかっている。ただし、先行研究の調査や分析に際しての要点はすでにつかんでいるので、データの編集作業が終わればすみやかに分析を行い論文を執筆ができる状態にしている。 一方で、日本へのインプリケーションを得るため、とりわけ日本の介護保険財政下の高齢者入所施設に関するデータの収集と編集を行っている。現在は厚生労働省の公開データを用いて、研究対象として定めた岐阜県の高齢者入所施設(主に、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)の一覧データを作成中である。本データは、各入所施設の自由記述欄があるため、フォーマットを統一することなどに時間がかかっている。ただし、イギリスのデータと同様に、先行研究の収集と考察などはすでに行ってきたので、データの編集作業が終わればすみやかに分析を行い論文執筆ができる状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
イギリスの公企業のデータ収集と編集には多くの時間がかかったが、先行研究の整理などは終えているので、データ整備さえ終えられれば、当初の計画通り3つのテーマに関する量的な研究を開始できる。 一方、日本の高齢者入所施設の一覧データについても完成が近い。厚生労働省のデータからは拾えなかった項目内容については、順次各施設に問い合わせを行う予定である。一覧データが作成できたら、量的な研究を行い、データ上では読み取れない内容を見つけた場合には、適宜各高齢者入所施設にインタビュー調査を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、イギリスのNHSと日本の高齢者入所施設に関わるデータの収集とデータセットの整備に多くの時間をかけたため、旅費や物品費など、データ整備に関わる費用以外の項目で使用する機会が少なかった。データ整理が完了したら、データ分析を行い、必要な場合にはフィールド調査を行うので、書籍や地図などを購入したり、出張を行ったりする予定である。 これまでのデータ整理状況からすると、NHSのデータを完成させるために、クリニックなどの組織に赴き、インタビューを行う機会が必要となる。イギリスの分析からのインプリケーションを得るために日本の高齢者入所施設の分析も行おうとしているが、一覧データの項目でデータが得られなかった内容については、各施設にインタビューを行う必要が生じると思われる。そのほか先進諸国の公的な組織の考察をも比較対象として視野に入れることを考えるならば、関連する書籍等の購入や各種フィールドワークに要する費用が発生する見込みである。
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