2012 Fiscal Year Research-status Report
中古車貿易における移民企業家の多民族ネットワーク形成に関する社会学的研究
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24730412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福田 友子 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (40584850)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会学 / 移民研究 / 中古車貿易 / 中古部品貿易 / 多民族ネットワーク / パキスタン |
Research Abstract |
1年目(2012年度)は、妊娠・出産による研究活動の一時中断のため、計画当初に予定していた海外調査を実施できなかった。また産後休暇中および育児休暇中については、予算を使えないことが判明したため、書籍購入や謝金支払いを要する予備的調査等の研究活動を断念せざるをえなかった。そこで、出産前については学会活動に専念し、出産後については論文執筆を進めつつ、北陸地方での国内調査のみ実施することとした。 まず4~6月においては、学会発表等の研究活動を積極的に行った。5月には、地域社会学会第37回大会において「日本海沿岸地域におけるパキスタン人企業家の集積」という題目で自由報告を行った。6月には、関東社会学会第60回大会において「不況下におけるパキスタン人移民企業家のビジネス戦略」という題目で自由報告を行った。どちらも、2010~11年度の科研費調査等の研究成果から着想を得たテーマであり、本研究課題の中心的な論点となるものである。両報告では、過去2年間の調査で得た実証データを中心に整理して、現段階の仮説となる分析枠組みを提示した。フロアから、本研究課題の独創性が他の研究蓄積と接合しうるのかという疑問が投げかけられ、新たな検証課題を得ることができた。7~10月においては、産後休暇および育児休暇中ということで、研究活動を一時中断した。休暇中はなるべく他分野の書籍を読むよう心がけ、視野を広げることに努めた。11~3月においては、複数の原稿執筆に時間を割いた。首都大学東京の報告書、アジア経済研究所の報告書にそれぞれ原稿を寄稿し、また2010~11年度の科研費調査および別の共同研究調査で得た成果について、千葉大学の報告書にまとめ上げた。さらに2月には、他の共同研究者と共に、富山県、石川県での国内調査を実施する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、1年目(2012年度)は、妊娠・出産による研究活動の一時中断のため、計画当初に予定していた海外調査を実施できなかった。また産後休暇中および育児休暇中については、予算を使えないことが判明したため、書籍購入や謝金支払いを要する予備的調査等の研究活動を断念せざるをえなかった。そこで、出産前については学会活動に専念し、出産後については論文執筆を進めつつ、北陸地方での国内調査のみ実施することとした。 調査等の研究活動が制約を受けた反面、1年目から2件の学会報告、2本の論文執筆、1冊の調査報告書の刊行を達成できたことは予想以上の成果と言えよう。また過去2年間の調査成果を1冊に取りまとめたことによって、今後の研究課題をより一層明確化させることができた点も評価できる。とはいえ、本研究課題にとって重要な海外調査を延期したことは重大であり、その点を考慮して、総合的に「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,まず日本でヒアリング調査を継続する.また7~8月に第三国のニュージーランド、翌年2月に第三国のチリとペルーで現地調査を行う.同時並行で貿易統計の検討や文献研究を進め,データ分析に必要な枠組を構築する.調査成果は学会で報告し、英語論文を完成させる.また翌年のISA参加のための報告申請手続きをする.併せて3年目の調査準備を行う. 3年目は,8~9月に最終目的国アメリカとカナダ,翌年2月に出生国パキスタンと第三国アラブ首長国連邦の現地調査を行う予定である.国内調査が不足している場合は追加調査をし,文献研究も引き続き行う.前年までの調査成果は,7月の国際学会ISA (International Sociological Association) World Congress of Sociology 2014, 18th, RC-31 (Research Committee on Sociology of Migration)で報告する. 政情不安や調査協力者側の都合などで調査が計画通り進まない場合は,調査地を変更する,調査期間をずらす,調査対象者を変更するといった手段で,なるべく多くのデータを集められるように適宜調整する.調査地点候補は複数あるので,臨機応変に対応することができる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題において、国内および海外での現地調査が最も重要であることから、経費の多くを旅費に当てる。当初計画では1年目を予定していたニュージーランド調査を、2年目の夏に実施することにした。またチリとペルー調査を2年目の翌年2月に延期して実施する。航空券は格安航空券を利用し滞在費は規定の範囲内におさめる予定だが,現地での移動経費が若干かかる可能性がある.また海外調査では現地コーディネーター兼通訳が必要不可欠であるため,人件費・謝金として、その経費がかかる。 研究成果は国内の学会で発表して検討を加えたのち,国際学会での報告や英語論文の投稿という形で積極的に海外で発表していきたいので,資料翻訳費・英文校閲費を謝金として支出する予定である.成果を英語で発表することによって,日本の事例研究として世界基準の中で評価されることから,英語のみならず他の外国語の論文における引用も期待できる. 設備備品費として、専用のノートパソコンを購入する。当初計画では1年目の購入を予定していたが、新規モデルの発売等のタイミングの関係で、2年目にずれ込む結果となった。また複数の調査員を確保できる見込みがあれば、謝金を使用して2011年の電話調査の追加調査を実施したいと考えている。
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Research Products
(8 results)