2012 Fiscal Year Research-status Report
現代都市下層地域の社会構造再編過程分析のための国際比較研究
Project/Area Number |
24730423
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 都市下層 / 社会構造再編 / 国際比較 / 横浜 / 寿町 / バンクーバー / Downtown Eastside |
Research Abstract |
2012年度は2012年8月(6日間)、2013年3月(5日間)の2回、計11日間にわたってバンクーバー・DTES地区での現地調査を実施した。訪問調査先は、バンクーバー市都市計画課、カーネギーコミュニティセンター、キリスト教教会(2カ所)、社会企業(2カ所)、NGO(3カ所)であり、ほかに地域活動家数名にインタビュー調査を実施した。また、地元図書館等を訪問し、DTES地区の形成過程、福祉施策、都市計画に関する資料収集を行った。現在、DTES地区では周辺地域を含んだ住民参加型のまちづくり(Local Area Planning Project)が進展しており、これに関する資料収集も実施した。また、DTES地区、隣接する中華街を含めたバンクーバー市ダウンタウン全域の再開発をめぐる状況、ジェントリフィケーションに対する現地社会での議論についても確認、情報収集を行った。これらを通じて、DTES地区の地域活動の内容、各団体間の関連、住民構成、地域課題についてそれぞれ概要を確認することができた。 寿町地区については、昨年度まで実施してきた現地調査、資料収集を継続することで地域変化の把握につとめ、特に地区内での生活保護および法外援護制度をめぐる状況の変化について確認した。また、参与観察調査の一環として、自治会、横浜市各部局、地域団体との定期会合に毎月出席し、地域福祉計画に沿ったまちづくりの進展とその過程に関する把握を行った。また、2008年頃から寿町地区で現代アートに関わる活動を開始した市民団体の活動状況、若手アーティストの地域への関わりについても参与観察を通じたデータ収集を行った。同時に、近接する黄金町地区、長者町地区での地域再生と現代アートプロジェクトの関わりについてもデータ収集、現地視察、インタビューを実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バンクーバー・DTES地区については2回の現地調査を実施し、地域活動の内容、各団体間の関連、住民構成、地域課題についてそれぞれ概要を確認することができた。横浜・寿町地区については生活保護、法外援護制度をめぐる状況変化と、新たな市民活動の展開についてデータ収集、概要把握を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、バンクーバー・DTES地区については7月、11月の現地調査を予定している。必要性がありまた予算執行上可能であれば3月にも追加調査を実施したい。2012年度調査でおおむね地域の概要を把握する事ができたので、2013年度は地域課題に対する社会運動の取り組みをさらに調査すると同時に、住民参加型まちづくり(LAPP)の進展状況、地価高騰とジェントリフィケーションの状況についてもデータ収集を実施する。 横浜・寿町地区については、引き続き地域団体による住民支援活動、地域福祉保健計画にともなう行政機関のネットワーク化の進展についてデータ収集を実施し、学会報告、論文執筆をすすめる。また、2013年度に実施予定の比較分析のための論点整理を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、当初想定していたよりもカナダ現地での資料収集がスムーズに進行したため、計画よりも予算を抑えることができた。それによって、次年度に使用予定の研究費が発生した。それを含めた次年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。 旅費(国内、海外)の使用:バンクーバー・DTES地区での7月、11月の現地調査のために海外旅費が必要である。また、国内調査として横浜・寿町での地域調査に加えて、国内の他の都市下層地域の状況、低所得層に対する福祉施策、居住福祉の取り組みの状況を把握するための調査、さらに研究成果の学会での報告のための旅費が必要となる。2013年度は地域社会学会、日本都市社会学会での成果報告を予定している。 物品費:2012年度調査を通じて、バンクーバー、横浜ともに、居住福祉をめぐる施策や民間団体の取り組みが主要な地域課題であることを確認した。このため、そうした問題にかかわる文献、資料の入手が必要となる。 謝金:研究遂行にあたって、住宅政策、社会福祉など代表者の専門分野以外の知識が必要となることがわかった。このため専門的知識の提供のために謝金を必要とする。
|
Research Products
(2 results)