2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代都市下層地域の社会構造再編過程分析のための国際比較研究
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24730423
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 都市下層地域 / 福祉ニーズ / ホームレス / 横浜 / 寿町 / バンクーバー / ハウジングファースト |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は横浜寿町地区については国際学会報告1本、バンクーバーDTES地区については国内学会報告1本、査読論文1本の発表を行った。これらにおいて2014年度半ばまでの調査、分析結果をまとめることができた。 7月~8月に10日程度、バンクーバーを訪問し、DTES地区での調査を実施した。現地NPO、教会、社会活動団体等を中心に、地域住民への支援およびホームレス等の生活困窮者に対する支援活動の実態、課題を明らかにするための資料収集を実施した。特に、行政から委託を受けて「ハウジングファースト施策」のための支援事業を行っている複数のNPO、社会企業にインタビューし、当該地区の近年の変化(元ホームレスであった生活困窮者層の集住、支援活動の集中)と地区内の簡易宿泊所を活用して行われている「ハウジングファースト施策」との関連を明らかにできたことは非常に意義の大きいことであった。 寿町地区については、参与観察調査を中心として地域活動の展開とその変遷についてデータ収集を行った。これは前年度から引き続き実施しているものである。さらに、地区内で中心的な役割を担ってきた労働福祉センターの建て替え計画に関わる地域内の反応等についてもヒヤリング等によるデータ収集を実施した。これらを合わせて、今日の寿町地区における単身の生活保護受給者の集住とそれを前提とした行政による地区計画、福祉計画の策定が行われる一方で、それに合致しない人々への行政支援が希薄となっている状況、それらを民間支援団体がカバーしている状況が明らかになった。 両地区での調査結果を総合して検討した結果、都市下層地区への福祉ニーズの高い人口が集住し定着している状況を確認した。そして、ホームレスを中心とした生活困窮層への福祉政策が特定地域で行われることによってその地域に福祉ニーズの高い人口が定着する結果がもたらされていることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)