2014 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生の民族祭りにみる存在の政治と人間関係形成の事例研究
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24730427
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
山口 健一 福山市立大学, 都市経営学部, 講師 (90614149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 民族まつり / 在日朝鮮人 / 民衆文化運動 / シンボリック相互行為論 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度にひきつづき、継続的に東九条マダン実行委員会への参加観察を行った。また東九条マダン開催日にも参加観察を行い、その祭りの表象形態を分析するためのデータ収集を行った。 これまで収集したデータの整理を、東九条マダン、その中心をなすハンマダン、またそれらの思想的源流をなす在日朝鮮人の民衆文化運動の区分から行った。現在そのデータをもとに、在日朝鮮人の民衆文化運動の思想、ハンマダン、東九条マダンの順で論文を執筆している。 在日朝鮮人の民衆文化運動の思想については、これまで学術的な研究がほとんどなかった。昨今全国各地にみられる在日朝鮮人の民族文化のまつりの思想的源流の一つは、韓国の民衆文化運動にある。本研究は、韓国の民衆文化運動と在日朝鮮人の民衆文化運動の思想的な系譜関係や異同を考察した。それにより、「マダン」と呼ばれる在日朝鮮人の民族文化実践と、民衆文化運動との連続性が明らかになった。 また米国のシンボリック相互行為論学会にて、東九条マダンの実践を報告した。東九条マダンに表れる多文化共生という日本社会に特有の理念を、多文化主義と比較しつつ考察した。この考察により、東九条マダンを、自治などの権利を付与する多文化主義と異なる、日本社会に特有の民主主義運動として位置づける道筋ができた。 東九条マダンの実践を、民主主義、民衆文化運動、ポスト植民地主義下での対抗文化実践といった主題に位置づけるために、諸文献を精読した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データの整理と分析がやや遅れている。特に東九条マダンの開催日における表象形態の分析がまた不十分である。論文執筆ならびに査読による修正に、想定より若干長く時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、東九条マダン実行委員会ならびへ参加観察を行う。また東九条マダン開催日の参加観察を行い、祭りの表象形態についてのデータを収集する。これらは論文執筆にむけた、補足的なデータ収集の機会とする。 ハンマダンと東九条マダンを事例とした論文を執筆し学会誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
当該助成金による研究期間において至急の大きな大学業務が入り、参加観察ならびにインタビューを実施することができなかった。それにより次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東九条マダン実行委員会ならびに東九条マダン開催日への参加観察に使用する。また補足調査に使用する。論文執筆に際して必要となる文献や資料等の収集に使用する。
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Research Products
(2 results)