2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730452
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20361553)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理主義化 / 感情労働 / 生-権力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年も、前年度に引き続いた理論的研究と言説分析を深化させた。 前者に関しては、グローバル化に伴う労働能力の意味変容をホワイトカラー労働の陳腐化とそれに伴う生の感情労働化と捉え押し、A・ネグリらの帝国論やフーコー、ドゥルーズらの管理権力論を元に考察した。その中で、心理主義化を自己感情を常に保持しつつも、真正さが得られないというダブルバインドを強いるものであり、かつ労働場面においてフレキシブルな自己を維持しつつもそれを「より善い」達成物としていこうとさせる悪循環の構図を個々人に強いるものして描き出した。 後者に関しては、自己啓発書やビシネス・マナー書や雑誌での特集を取り上げながら、対人関係のあらゆる場面での「気配り」「配慮」の強調とそこからの「転調」を上手く行うスキルが強調されている有り様を分析した。同時に、これらを上手く行えないことによる階層の下方移動へのおそれが煽られる中で、ますます生の感情労働化が進展していくことを分析した。 それらを受け、引きこもり者や「グローバル人材」へと煽られる有り様への質的調査に向けた予備的作業として、彼/彼女らに関する手記等の収集とリポートを試みた。その手がかりとして、自己実現への煽りや「撤退」が入進学、就職・退職等の場面で生じるありさまに注目した。 以上を纏めると、現代社会の特徴であるグローバル化を、それが労働能力に強いる課題を心理主義化という観点から纏める社会学的・思想的な総合研究を行った。
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Research Products
(1 results)