2013 Fiscal Year Research-status Report
ベーシックインカムとフェミニズム:性別役割分業の観点から
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24730465
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
堅田 香緒里 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (40523999)
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Keywords | ジェンダー / 貧困 / ベーシックインカム |
Research Abstract |
今日の貧困と対貧困政策をめぐる状況を分析し、とりわけ生活保護制度に代表されるようなナショナルミニマムを保障する諸政策の課題を指摘し、そうした課題を乗り越える一つの候補としてベーシックインカムの可能性を検討した。 その成果は、(1)「ナショナルミニマムの現在とその行方」(『福祉社会学ハンドブック―現代を読み解く98の論点』中央法規、2013年)、(2)博士学位論文『貧困の政治』(首都大学東京大学院、2014年3月)、(3)「ベーシック・インカム」「私的扶養」日本社会福祉学会編『社会福祉学辞典』(掲載確定・近日刊行予定)等にまとめている。 また、研究成果を広く社会に発信することにも努めた。例えば(1)「ベーシックインカムとは何か?」、シビル市民講座「現在の貧困を問う~生活保護と働くこと」(2013/07/06)、(2)「日本の貧困構造とベーシックインカム」、研究所テオリア第2回総会記念シンポジウム(2013/10/27)等。 最後に、国際的な学術ネットワークにおいても研究成果の発信に努めた。(1)"Beyond the Three Selection Principles of Welfare Policy (Work, Family and Belonging). Towards a Reconsideration of Fujin Hogo Jigyo (Women’s Protection Project) in Japan," Toru Yamamori and Yannick Vanderborght eds., Basic Income in Japan: Prospects for A Radical Idea in A Transforming Welfare State, New York: Palgrave Macmillan. (掲載確定・近日刊行予定)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際的な学術ネットワークにおいて研究成果を発信し、意見交換を行うために予定していた渡英はかなわなかったが、ベーシックインカム国際ネットワークの理事であるYannick Vanderborght 氏を日本に招き、研究成果の発信・意見交換を、ワークショップ形式で行った(京都)。 その成果は以下の書籍として近日中に出版予定。 ・"Beyond the Three Selection Principles of Welfare Policy (Work, Family and Belonging). Towards a Reconsideration of Fujin Hogo Jigyo (Women’s Protection Project) in Japan," Toru Yamamori and Yannick Vanderborght eds., Basic Income in Japan: Prospects for A Radical Idea in A Transforming Welfare State, New York: Palgrave Macmillan. (掲載確定・近日刊行予定)
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの検討作業で得られた知見をまとめ、ベーシックインカムに関する国際的な研究者組織(Basic Income Eaeth Network,BIEN)が2年に一度の世界大会をモントリオールで開催するのに合わせて、研究成果の報告を行う。基本所得に関する議論の蓄積が日本より豊かな海外においても、未だジェンダー盲目な議論が多いことをふまえ、フェミニズムの観点から本研究の意義を強調したい。また、国際学会で獲得されうる研究者との交流関係は、本研究を将来、在外研究へと発展させていくうえで、きわめて重要な資源となりうる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた渡英(ヒアリング調査・共同研究に向けた意見交換)を平成26年度に延期したため。 なお、国際学術ネットワークにおける研究成果の発信という点では、平成25年度に、ベルギーからベーシックインカム国際ネットワーク理事であるYannick Vanderborght氏を京都に招いて、ワークショップ形式でインテンシブな意見交換を行った(その成果は前述の書籍)。 延期となったヒアリング調査・共同研究に向けた意見交換のためにH26年度の夏季休暇を利用して渡英する。差額については、その交通費・資料代に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)