2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730523
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
加藤 正晴 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, リサーチスペシャリスト (20408470)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 視線パタン / 顔認知 / 発達 |
Research Abstract |
乳児の顔認知の発達を調べるにあたり,本研究代表者は,従来の乳児研究で多く使われる画像全体への注視時間を利用した手法ではなく,(1)画像中の各場所への注視時間と(2)各場所への移動順序の両方を利用した新しい解析法を提案し,それにより視線パタンの発達を定量的に分析することを可能とした.その結果,生後6ヵ月から13ヵ月にわたって,乳児の顔認知に関する処理機構は漸近的に発達することを定量的に示すことに成功した.この成果は専門誌Infant Behavior and Developmentに2013年初頭に掲載された. 従来法では二つの画像への全体的注視時間の差をもとに乳児がその画像を区別可能かどうかを論じるが,これではなぜ区別できたのかを知ることができない.本手法は視線パタンを用いるため,どの場所が乳児の注意を一番ひいたのか,さらには画像中のなにを比較するのかといったより細かい情報も拾うことが可能である. そこで視線パタンには被験児の顔画像に対する認知的処理が反映されると仮定し,それがどのようなパタンであるか,またどんな発達をたどるかを検討した. 視線パタンはその視線パタンに関連する課題への習熟によってパタンが集約されることや,効率的な視線の動かし方の訓練(視線パタンの効率化)がビデオゲームの成績向上に寄与することが知られている.もし顔特有の認知的処理が発達と共に習熟化・効率化するのであれば,各被験児の視線パタンは最も効率の良い視線パタンに向けて月齢とともに収束していくと予想される.本研究では実際に,乳児期の視線パタンは個人間の類似度が低く発達と共に類似度が上昇していくことを初めて示した.また,倒立顔は正立顔によりもゆっくりと類似度が上昇することも示された.この成果は,乳幼児の発達過程を”定量的”に捉えた研究としても意味がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り,申請書に提案した新たな解析方法が顔認知の発達を調べる上で有効なことを示し,まとめた論文が専門誌に受理された点を考えるとおおむね順調に進展していると考えても良いと思う.
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Strategy for Future Research Activity |
ウプサラ大学の協力者より表情を浮かべた顔画像を提示した際の乳児の視線データを受け取っているので,その解析を勧めていく.また前年度の実験中,大変興味深い現象を発見した.乳児が非常にあいまいかつ抽象的な顔刺激を注視しているときに音刺激を加えると,口に相当するであろう箇所への注視時間が増大することを見いだした.もし,音刺激の発生箇所として口を注視する時間が増大しているのであれば,乳児は,顔には口があり,口からは音が出るという概念を獲得していることを意味する.すなわち顔に対する表象をいつ頃から獲得しているかについて調べることができる.当初の目的を追いつつ,こちらの研究も行う予定である.この方針による費用の増加はない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の半分近くは実験実施箇所である同志社大学への出張旅費および学会参加費に費やされる予定である.またデータの増大に伴い,新たな計算機資源を購入する予定である.それ以外に被験者費用として20万円前半程度,その他雑費として15万程度予定している.
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Research Products
(2 results)