2014 Fiscal Year Annual Research Report
反事実的思考の発達:出来事の領域と因果的連鎖からのアプローチ
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24730550
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中道 圭人 静岡大学, 教育学部, 准教授 (70454303)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幼児 / 反事実的思考 / 反実推論 / 因果推論 / 領域特殊 / 認知発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,物理的変化が生じる因果的な連鎖に関する反事実的推論の発達を検討するための実験を行った。 実験では,保育園の3-6歳児38名(M = 58.50ヶ月)を対象とした。各参加児に個別面接で,2種類の反事実課題(物語を聞かせた後,その物語に関する反事実的な質問を尋ねる)を行った。いずれの課題でも,物語は5つの場面からなる因果的な連鎖(初期状態⇒原因Ⅰ⇒結果Ⅰ⇒原因Ⅱ⇒⇒結果Ⅱ)であり,質問では“原因Ⅱが異なっていた場合,結果Ⅱがどう変化するか”を尋ねた。具体的な物語の内容としては,事象の変容可能性の高い物語(例:丸い粘土がある⇒A君が粘土に触る⇒粘土が三角形になる⇒B君が粘土に触る⇒粘土が四角形になる)[High可変性物語]と,変容可能性の低い物語(例:2つの取っ手の付いたコップがある⇒コップに積み木が当たる⇒コップの取っ手が1つ取れる⇒コップが机から落ちる⇒コップの取っ手がもう1つ取れる)[Low可変性物語]があった。 実験の予備的な分析結果は,以下の通りである。1.全体的に,Low可変性物語(正答率=24%)よりHigh可変性物語(正答率=45%)に関して反事実的思考が可能である。2.Low可変性物語に関する反事実的推論はいずれの年齢でも困難であるが,High可変性物語に関する反事実的推論は3歳頃には困難であるが,4-5歳以降に徐々に可能になる。 この結果は,子どもの反事実的推論の発達が同じ領域であっても,その領域に含まれる下位的な要素(今回では“事象の変容可能性”)によって異なることを示している。
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