2013 Fiscal Year Research-status Report
交際相手への暴力の新しい形態:情報通信技術を用いた暴力の実態とその影響
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24730572
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹澤 みどり 富山大学, 保健管理センター, 講師 (90400655)
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Keywords | 交際相手からの暴力 / 情報通信技術 / インターネット / 排他性 / 被統制感 / 暴力許容度 |
Research Abstract |
本研究は、交際相手からの暴力の新しい一形態である情報通信技術を用いた暴力(以下、I-IPV)の日本における実態とその特徴、交際相手へのオフラインでの暴力(以下、IPV)との関連を明らかにすることが目的である。前年度に実施した自由記述調査および先行研究から、I-IPVの6種の行為(「言動監視」「執拗なメッセージ送信・電話」「誹謗中傷」「脅迫」「プライベートの暴露」「なりすまし」)を測定する尺度項目をそれぞれ作成した。作成した尺度を用いて、特に排他性(交際関係にある個人が外部の関係とのかかわりを抑制しようとすること)の影響およびIPVとの比較検討を目的としたWEB調査を実施した。現在交際相手のいる15~29歳の男女で、交際相手が異性である820名を分析対象とした。分析の結果、I-IPVの6種の行為とIPVの3種の行為(「身体的暴力」「性的暴力」「精神的暴力」)との間に.36~.52の有意な正の相関がみられ、現在の交際相手からI-IPV被害を受けている人はIPVの被害も受けている人が多いことが示された。また、被害経験の有無と自身の排他性の高低によって被害者の被統制感が異なるか検討した結果、概ねそれぞれの主効果が有意で被害経験のある人、自身の排他性の高い人のほうがより被統制感が高く、交互作用は見られなかった。さらに、被害経験の有無とその行為に対する許容度との関連を検討したところ、I-IPVおよびIPVのすべての行為において経験がある人のほうが、許容度が高いことが示された。さらに、個人内での各行為の許容度の比較を行った結果、「言動監視」「執拗なメッセージ送信・電話」が最も許容度が高く、次に「精神的暴力」「性的暴力」、次に「身体的暴力」「誹謗中傷」「脅迫」「プライベートの暴露」、最も許容度が低かったのは「なりすまし」であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の調査をもとにI-IPVを測定する尺度項目を作成し、被害経験における排他性の影響を検討した。加えて、情報通信技術を用いた暴力被害とオフラインでの暴力被害との比較を行うことができた。後述するように、当初の調査計画とは異なり次年度予定していた部分も一部調査計画に組み込み検討を行っているが、次年度で加害の観点からの検討を行うことで当初の目的を達成できる予定であることから「おおむね順調に進んでいる」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度でオフラインでの暴力との関連を検討することを予定していたが、以下の理由で今年度その一部を実施した。暴力には加害者と被害者の視点が存在し、交際相手からの暴力の理解にはこれら両観点から検討する必要があると考えられた。しかし、一度の調査で両観点を検討するには調査項目が多くなり、実施が困難であった。そのため、次年度予定していたオフラインでの暴力との関連についても被害の観点についてのみ今年度併せて検討を行った。次年度は、加害の観点からオフラインでの暴力との関連も含めて検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)