2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24730593
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
加地 雄一 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80575134)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジェスチャー / 言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
養育者とのコミュニケーションにおけるジェスチャーの使用が子どもの言語発達に及ぼす影響を解明することを目的として調査を実施した。研究仮説として「養育者のジェスチャーが子どものジェスチャーや言葉の発達を促す」と予測を立てた。そこで実際に,健康な3組の母子(子どもは8ヶ月から18ヶ月児)を対象に,プレイルームでの自由な遊びの様子を録画し,分析した。予測に反し,母子間の自由な遊び場面において,子どもは母親の働きかけにすぐに反応することは比較的少なく,むしろ,自発的な発話や行動(ジェスチャーを含む)の方が比較的多く見られた。このことは,健康な母子関係においては,子どものジェスチャーや発話を母親が意図的に方向づけることは難しく,むしろ,子どもの自発的な発話やジェスチャーに対して母親が適切にフィードバックすることの方が現実的であり,効果があることを示唆するものである。もちろん,子どもの自発的な発話・ジェスチャーは普段の母子コミュニケーションが無意図的に想起された結果であると思われるため,普段から母親が積極的に子どもに働きかけることが重要であることには変わりがない。 心理的介入(心理療法)といった観点からも,対象者の主体性を無視した方向づけをすることはあり得ず,言葉を発する前後の段階にある子どもの発達においても,主体性を重んじることが大切であることが示された。先行研究 (e.g., Rowe et al., 2008) は子どもの側におけるジェスチャーと語彙発達の関係について示してきた。これに対し,本研究は,環境の側からの語彙獲得支援の視点に立ち,養育者のジェスチャーによる働きかけに注目した点に意義・重要性がある。
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Research Products
(1 results)