2012 Fiscal Year Research-status Report
3歳未満児の身体活動を規定する要因の探索と運動発達との関連性に関する調査研究
Project/Area Number |
24730691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
大和 晴行 関西国際大学, 教育学部, 助教 (70522382)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 養育態度 / 運動発達 / 3歳未満児 |
Research Abstract |
平成24年度は、養育者の遊びに対する養育態度尺度の項目の収集を行うため、兵庫県及び大阪府で勤務する計181名の保育士を対象にアンケート調査を実施した。具体的には、「保育士自身が乳幼児の運動発達、運動意欲の向上のために、身体活動場面での援助で意識している内容」について自由記述式で回答を求めた。 回答を分類した結果、6つの項目に分類された。第1の項目は「モデル機能の発揮」であり、「体操やダンスのときなど笑顔でできるだけ大きく動く」など、動きの見本に関する内容や意欲を引き出すための保育者のモデル機能に関する内容で構成された。第2の項目は「情緒的援助」であり、「出来たことを一緒に喜ぶ」など、達成感や満足感に得るための言葉かけや、安心感を持って活動に取り組むための援助に関する内容で構成された。第3の項目は「技術的援助」であり、「自分で出来たと思えるよう、さりげなく支えたり力を貸す」など、具体的にかかわりながら動作の獲得や遊びの目標を達成するための援助に関する内容で構成された。第4の項目は「楽しさの共有」であり、「体操やふれあい遊びで手を取り一緒にリズムに乗って遊ぶ」など、楽しさを共有するための身体接触、まなざし・リズムの共有で構成された。第5の項目は「安全管理」であり、「傍らでいつでも助けられるように見守る」など、安全管理に対する構えや危険回避のための具体的な方策で構成された。第6の項目は「遊びの選択と展開」であり、「決まった振付のない歌でも、子どもが出来る動きを取り入れて一緒に踊る」など、遊び方の工夫や展開の仕方に関する内容で構成された。 このように本調査では、3歳未満児の運動発達や運動意欲に影響を及ぼすであろう養育態度について、具体的なかかわり方を分類することが出来た。平成25年度はこれらの項目を基に、遊びに対する養育態度尺度を作成し、3歳未満児の運動発達との関連性を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、平成25年度に遊びに対する養育態度と3歳未満児の運動発達との関連性について検討するため、平成24年度は「遊びに対する養育態度尺度」の作成を目指した。 当初、これまでの研究結果や保育経験者からのインタビューを基に、尺度項目を作成し、平成24年度中に3歳未満児を持つ養育者に対し、アンケート調査を実施し、尺度を完成させる予定であった。しかし遊びに対する養育態度は子どもの年齢によって変わっていくこと、できるだけ具体的な場面でのかかわり方の内容を尺度項目として取り上げることが、最終的に保育現場や子育て支援現場での啓発活動に活かす際に重要と考えた。そこで、日常的に子どもとかかわる保育者に対し、自由記述式のアンケート調査を実施したため、データ入力の時間、データ分析の時間が増加したため、作業に遅れが生じている。このようにして、平成24年度は保育士から遊びに対する養育態度尺度の項目を収集し、分類することに留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、平成25年度は8月~9月にかけ、兵庫県、大阪府、熊本県、千葉県の保育所に子どもを通わす保護者500名に対しアンケート調査を実施する。具体的には0歳児クラスから3歳児クラスの保護者に対し、平成24年度の調査で分類された「遊びに対する養育態度尺度」の項目、家庭での遊び状況(遊び時間、遊び場所、遊び仲間、遊び内容)、生活状況(起床就寝時刻、テレビ視聴状況、食事内容、生活動作)、運動発達及び運動意欲に関する項目について尋ねる。加えて運動発達については実際の子どもの運動動作、生活動作をビデオ撮影し、運動技能レベルを判定したデータも用いることで、本研究の要となる運動発達を正確に評価していく。調査後、「遊びに対する養育態度」に関する項目は、因子分析をし、先行研究で用いられている尺度を用いて基準関連妥当性を検討した上で尺度化する。また、因子分析で得られた各因子と遊び状況、生活状況、運動発達との関連性を検討し、3歳未満児の運動発達に影響を及ぼす要因を明らかにする。 また、平成25年度の結果を受け、平成26年度には子どもの運動発達に関するリーフレットを作成すると共に、研究結果を反映した親子遊びプログラムを開発、実施し、その効果について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は勤務校の行事予定のため、情報収集のため予定していた学会大会に不参加となったこと、パソコンを2台購入予定を1台に留めたため未使用の研究費が発生した。そのため平成25年度は、80万ほどの予算があるが、以下の使用計画を予定している。まず、学会発表の参加費及び旅費に10万円を予定している。次に研究論文の投稿掲載費として15万円。次に本研究は当初アンケート調査のみの予定であったが、運動発達調査に動作分析を新たに加え、より質の高い研究とするため調査旅費が新たに生じている。そのため前年度繰り越し分の一部を用い、調査旅費として20万円(本務校は兵庫家であるが今回、調査協力の依頼を取り付けることが出来たのが熊本県3園、千葉県2園のため)を予定している。次に書籍代・レーザープリンター、消耗品などの物品費に15万円を予定している。最後に調査協力者への謝礼として図書券費として20万円を予定している。
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