2012 Fiscal Year Research-status Report
子どもの権利尊重の教育実践のための教師・保育者研修プログラムの開発
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24730697
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小田倉 泉 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10431727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / イスラエル / ポーランド |
Research Abstract |
本研究の目的は、子どもの権利尊重の教育実践のための研修プログラムを開発することである。本年度は、子どもの権利条約の思想的先駆者であり、子どもの権利尊重を実践したヤヌシュ・コルチャック自身の教育実践の実際と、彼の原則を現代の教育に取り入れた実践に関する調査を行った。 コルチャックの教育実践の実際については、存命しているコルチャックの教え子2名と面会し、インタビュー調査を行うことで、コルチャックの人物像の実際と、彼自身の教育実践の実相に迫ることができた。現在、コルチャックの教え子はイスラエルに在住する3名のみとなっており、彼らはコルチャックの教育実践の実際を語ることのできるわずかな人物である。インタビューを通じて明らかとなってきた人間コルチャックとしての像と教育実践者としての像、また彼らが生活経験として得たコルチャックの教育の実相とは、コルチャック研究において貴重であり、国内のみならず国外においても意義をもつものと考えられる。 コルチャックの原則に基づく教育実践に関する調査対象は、イスラエル中部の公立小学校アヴィハイル・スクールである。アヴィハイル・スクールは、2002年よりコルチャックの原則に基づく教育実践を取り入れている。この実践は、この年に校長として赴任したツィピ・マルハイム女史によって開始され、著しい学校改善をもたらしている。本年度は、コルチャックの原則を取り入れた経緯、思想的原則をどのように具体的行動として実践したか、また、実践の具体的内容について、マルハイム女史にインタビューを行った。さらに、アヴィハイル・スクールの教育実践内容の実際を調査するとともに、子どもたちへの質問紙調査を行った。アヴィハイル・スクールの実践は、コルチャックの実践を最も再現していると評価されているが、学術的な研究は不十分であり、本研究における成果は国際的にも価値を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、年度後半においてイスラエルにおける調査を実施した。イスラエルにおいては国際コルチャック協会、イスラエル・コルチャック教育研究所及び調査協力を頂いたアヴィハイル・スクールの多大な協力を得て実施することができた。これは、当該年度後期に、長期研修を取得することができ、イスラエルでの長期滞在が可能であったためでもある。 しかし、調査時期が当初予定よりも遅れたため、学会等での報告ができていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
・イスラエルでの調査結果をもとに、ポーランドにおける調査方法を検討し、比較考察 及び、両国から示唆を得得る結果となるよう準備を進める。 ・24年度の結果を学会等において発表し、研究の方向性を確認する。 ・ポーランドにおける調査に当たっては、ワルシャワ大学のWieslaw.Theiss教授との連携で行う。 ・イスラエル・ポーランドでの調査結果のまとめにあたっては、国際コルチャック協会会長Batia.Gilad女史と協議しつつ進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(17,855円)については、旅費(申請額300,000円)に加算して使用する。
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