2013 Fiscal Year Research-status Report
有限群や代数の指標の特殊関数としての位置付けとその応用
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24740033
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
水川 裕司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (60531762)
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Keywords | 代数学 / 表現論 / 組合せ論 / 指標 / 直交多項式 / 確率論 |
Research Abstract |
本年度はまず環積のゲルファント対を用いた壺とボールのモデルに関する結果を得た.複数の壺の中に複数のボールが入っており,任意にボールを取り出し,任意の壺に移し替える,というモデルはエーレンフェストの拡散モデルと呼ばれる.このモデルにおいて壺の個数が2個の時は,ダイアコニスによって有限群上の調和解析を用いた解析が与えられ,とくにカットオフ現象が起こることが発見された.また,同様のことが壺の数を増やしてもいこることが洞によって示された.私はこれらの壺の間に相互作用がある場合を考察し,そのなかでも有限群の作用で統制されるものを解析した.任意の有限群のゲルファント対(K,L)を考える,このときもちろん有限等質空間K/LにKは推移的に作用する.これは壺とボールのもでるととしては,[K:L]個の壺の間には相互作用があって,壺から壺に移るときのルールがKによって統制されることを意味する.そしてボールをどのように捉えるかというと,それはn次対称群S_nを用意して,ゲルファント対(K wr S_n,L wr S_n)を考えるする.ここでwr は環積である.すると,有限等質空間K wr S_n/L wr S_nの各元はどのボールがどの壺に入っているかという状態を表し,これでモデルが完成する.私はこれの特に確率収束の問題に取り組み,そのなかでカットオフが起きる条件を得ることができた.この内容は8月に行われた札幌での集会で講演をした.さらにこの内容で現在論文を作成中である.他には,岡山大学の山田裕史らとアフィンリー環の表現から得られるシューア関数たちの関係式を研究し,得られた結果を学会といくつかの研究集会で発表した.これに関する論文は現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有限群上の調和解析を用いたいくつかの研究成果は得られているものの,多変数の直交多項式の研究はなかなか進んではいない,これはなかなか手がかりとなるような発見や先行研究が見つからないということである.しかし,有木小池代数を含むようなヘッケ環の表現論はよく調べられており,これらをさらにうまく使えるように工夫をしなくてはならない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き,有限群やヘッケ環の表現論を用いた直交多項式の研究を続けていく.この研究は抽象的な代数学の世界(各種代数の表現論)と具体的な多項式の世界をつなぐものである.これにはやはり膨大な計算(計算機を利用したものも含む)による例と,理論面をカバーするための文献等の収集を行っていかなくてはならない.また,有限群の指標表は直交多項式と深く関係しているが,対称群の指標表に関してとくにそのマイナーに関するある事実を発見したので,これに関する研究も行いたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りだったが,物品が思っていたより安価に購入できたため. 旅費として利用する.
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Research Products
(5 results)