2013 Fiscal Year Research-status Report
ザルクマンの補題が生成する複素力学系のラミネーション
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24740103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川平 友規 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (50377975)
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Keywords | 複素力学系 / Teichmuller理論 / Zalcmanの補題 / ラミネーション |
Research Abstract |
● 主に正則写像の反復合成による力学系(複素力学系)に関する研究を行った.ここ数年はZalcmanの補題と呼ばれる正則関数族の正規性判定条件を複素力学系に応用する研究を行っている.本年度も昨年度に引き続き,力学系のパラメーター空間へZalcmanの補題(の原理)を適用する研究を行った.とくに力学系ににZalcmanの補題を適用して得られる有理形関数族とパラメーター空間に同補題を適用して得られる有理形関数族との「交差点」について研究を行った.(これから力学系のカオス部分とパラメーター空間の分岐部分の漸近的相似性に関する結果が導かれる.)3月には共同研究者のC.Cabrera(UNAM,メキシコ)を訪問し,「Zalcman関数族の空間での複素力学系」について議論した. ● Zalcman関数から生成されるリーマン面ラミネーション理論に関連して,複素力学系の(不変線分場,すなわちカオス部分の変形も含む)変形空間をラミネーションの変形空間に埋め込めるか,という埋め込みの問題を定式化し,その可能性について研究した. ● Y.-C. Chen (中央研究院,台湾)との共同研究で,2次多項式族の(双曲型から放物型,もしくはCantor型からMisiurewicz型への)退化を微分方程式系で記述する問題について研究した.2013年10月,11月にはお互いを訪問しあい,集中して議論する機会をもった. ● Riemann予想の複素力学系による定式化についていくつかの数値実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文が無事アクセプトされ,最近の研究結果についても論文にまとめている.
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Strategy for Future Research Activity |
幾何学的な研究方法から解析的な研究へとシフトしつつある.既知の手法を地道に勉強しながら,新しい応用を開拓したい.
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