2015 Fiscal Year Annual Research Report
多次元輻射流体計算を用いたガンマ線バーストジェットの研究
Project/Area Number |
24740165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長倉 洋樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (00616667)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガンマー線バースト / 超新星爆発 / 輻射流体 / 相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多次元相対論的輻射流体コードを開発し、大質量星の終焉やジェット伝搬などの数値シミュレーションを行い、超新星爆発やガンマー線バーストの物理機構を調べる事を目的としている。輻射計算は、第一原理的なボルツマン方程式を解いており、そこでは移流項や物質との反応項を矛盾なく取り扱う必要がある。これらの問題を解決するために、新たな数値アルゴリズムを開発し、様々な問題をクリアした。本数値コードの開発には、研究計画以上の年数を有したが、最終的には一般相対論的な定式化まで拡張させ、その実装も本研究期間中に行う事ができた。一般相対論化まで拡張したことは、当初の研究計画以上の成果であり、国内外からも高く評価されている。実際に、本研究によって進められた定式化や手法は、分野の枠を超え、天文台のブラックホール降着円盤の研究グループとの共同研究が現在進行中である。さらに、アメリカのプリンストンやカルテクのグループにも、本手法のアルゴリズムについて現在も議論を行っている。また大規模スパコンでシミュレーションできるように、並列化及びチューニング作業も行い、本アルゴリズムを用いた超新星爆発計算では、「京」スパコンによってシミュレーションをし、成果を上げている。 一方、ジェット計算においては、ニュートリノ駆動モデルに基づいたジェットブレイクアウトの可能性や、中性子星連星合体後のエジェクタ中でのジェット伝搬等の成果はあげたが、輻射流体計算の実装は、本課題終了までには間に合わなかった。その主な原因は、定式化や数値計算の安定性においては問題がないものの、運動量空間の角度の解像度の悪さが精度を悪くしてしまう事が判明したためである。これらの課題を解決するには、運動量空間の角度を自動的にRefinementするような手法(AMR)が必要であり、現在これらの数値アルゴリズムの開発を行っている。
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