2013 Fiscal Year Research-status Report
次世代高精度天体観測に向けたX線放射モンテカルロコードの開発と観測的実証
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24740190
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小高 裕和 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (50610820)
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Keywords | 中性子星 / 活動銀河核 / X線天文学 / 国際研究者交流,ドイツ |
Research Abstract |
天体モンテカルロシミュレーションコードMONACOの枠組みが整備されたことで,従来から取り組んできた中性子星降着流の研究に加えて,応用範囲を広げ、活動銀河核や系内ブラックホールへ適用する研究プロジェクトを開始した.現在,モンテカルロシミュレーションを用いて中性子星および活動銀河核,ブラックホール連星からのX線放射についてモデル化を進めている.また宇宙X線観測との比較を行い,モデルの観測的検証を目指している. すざく衛星による大質量X線衛星Vela X-1の観測データの解析結果を出版した.この解析により1時間以下の短い時間スケールでのスペクトルの変動を議論することが可能になった.さらに,この結果をもとに,中性子星降着流のX線放射モデルを構築し,続編となる論文を出版した.このモデルは天体モンテカルロシミュレーションを用いた逆コンプトン散乱放射の計算に基づいており,降着プラズマの物理量を抽出することを可能にした.これらの結果やガンマ線連星の解析結果について,スペイン・バルセロナで行われたワークショップで発表した(招待講演). このソフトウェアを用いて新しい応用に取り組んでいる.活動銀河核から放出される光電離されたアウトフローからのX線放射を3次元ジオメトリを考慮した放射輸送計算によりモデル化を行った.現在のX線観測結果との比較や将来の高精度分光における計画立案を行っている.また,中性子星降着流からの放射計算コードをブラックホールへ応用する研究も進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
X線放射計算コードMONACOが完成して,現在はさらなる改良に向けて,開発が進んでいる.大きなテーマのひとつであった中性子星降着流のモデル化と観測的検証は大質量X線連星Vela X-1に関する論文を2編出版したことで,目的を達成した.この研究で用いたコードは高い柔軟性を持っており,これをブラックホール降着流に応用するプロジェクトが進展し,当初の予想を超えて結果が出つつある.2つ目の大きなテーマである光電離プラズマのモデル化についてもチャンドラ衛星のデータ解析が進んだほか,活動銀河核からのアウトフローのモデル化・データとの比較を行ったことで順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
X線放射計算コードMONACOについては引き続きフレームワークの改良と計算コード最適化に取り組む.また新しい物理プロセスの追加を行う予定である. 中性子星降着流については一定の目的を達成したが,さらに,モデル精密化,物理パラメータ探索,いろいろな天体のデータを用いた検証などをバランスよく進めていくことなる.同じコードを用いたブラックホール降着流の研究結果は論文投稿を予定している. 光電離プラズマについては活動銀河核アウトフローのモデル化と観測との比較について,論文にまとめる予定である.また,大質量X線連星における光電離した星風の精密なモデル化に取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では1度の計算で大量のデータが生成されるため大容量の記録装置を購入する必要があるが適切な機種がなかったため. 大容量の記録装置を購入に当てる.
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Research Products
(6 results)