2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24740263
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大関 真之 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80447549)
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Keywords | 詳細釣り合い / 非平衡定常系 / 平衡状態 / マルコフ連鎖モンテカルロ |
Research Abstract |
今年度は非平衡統計力学の知見を確率過程におけるアルゴリズムへの応用を目指して、解析的研究に終止した.特に詳細釣り合いの破れという平衡と非平衡の境目について重点的に調査を行った.マルコフ連鎖モンテカルロ法と呼ばれる汎用的確率過程のアルゴリズムでは、元来詳細釣り合いを課した条件のもとで計算が行われてきた.しかしそれにこだわる必要性は数理的観点から否定されている.諏訪・藤堂は詳細釣り合いを破ることで、棄却率を0とする画期的手法を開発した.そこで詳細釣り合いを破ることでどのようにしてアルゴリズムの性能がよくなったのか、加速の起源はなんであるかを追求することを目指した. 詳細釣り合いの破れを引き起こすことで、確率過程のルールを決める遷移行列の性質がかわることで、ダイナミクスを支配する固有値の変化が見られる.その固有値の変化の仕方が、非対称な行列を用いることで必ずアルゴリズムの加速を引き起こす方向に変化することを見いだした.またこの非対称な行列の導入により、非平衡定常状態特有の維持熱の発生を見ることが出来た.この2つの大きな発見が今年度の主要な研究実績を言える. また平衡状態への緩和過程におけるダイナミクスの大偏差関数について、空間的に全結合をしているような系でその構造を明らかにした.これは平衡統計力学の平均場近似の、ダイナミクス版となっており、準安定状態の出現に際して、ダイナミクスがどのように凍結するかなどの基本的性質を捉えている基本的な形式を与える非常に重要な知見を得たこととなる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非平衡定常系及び平衡状態の緩和過程などのダイナミクスの性質と確率過程のアルゴリズムとしての側面を結びつける基本的性質を明らかにすることに成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
平衡・非平衡の境目について明らかになったため、この両者の違いを活かした計算アルゴリズムの開発を行う.またマルコフ連鎖モンテカルロの物理的側面について更に検討を加えて、情報量との関連についても議論をする.
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Research Products
(17 results)