2012 Fiscal Year Research-status Report
レイヤー構造を持った液晶の自己拡散メカニズムの解明
Project/Area Number |
24740288
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 陽子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80609793)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | レイヤー構造 / 拡散現象 |
Research Abstract |
ソフトマターと呼ばれる物質には自発的に長距離秩序を形成するものが多くある。本研究ではその中でも分子が自然に配列しレイヤ-構造を作る系の構成分子の拡散現象に注目している。両親媒性分子と水の混合系で現れるレイヤー構造の膜を一枚取り出すと、生体膜と類似した構造を持っており、生命現象の理解という観点からも、このようなレイヤー構造ゆえに現れる物性は興味深い研究対象である。 このようなレイヤー構造を持つ系には大きく分けて2種類ある。一つは両親媒性分子と水の混合系のように2成分系で現れるもので、もう一つは単成分系で現れるものである。本研究では、単成分でレイヤー構造を持つ液晶相の拡散係数の異方性に対する液晶レイヤー間の非液晶物質や液晶の配向状態の影響を解明する。液晶の自己拡散では単成分レイヤーの液晶と、異種のレイヤーが重なった構造を持つ2成分レイヤーの液晶の拡散係数には大きな隔たりがある。この拡散のメカニズムの違いを理解すべく、単成分液晶にアルカンを混合して2成分レイヤーとなる試料を用いて、レイヤー間の非液晶物質が膜構成分子の拡散に及ぼす影響を解明する。 平成24年度は、この拡散係数の測定手法の改良を行った。本研究ではUVレーザーにより発光する液晶分子の移動の直接観察から拡散係数を測定している。既存の手法では数百μmの範囲にこのUVレーザーを照射していたが、干渉系の装置を構築することで、今までより一桁小さい数十μmの範囲にUVレーザーを照射できるようになった。このマーキング範囲の変化によって、液晶の欠陥が拡散に及ぼす影響などが分かることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書では干渉UVレーザーの開発を平成26年度に予定していたが、平成24年度に達成した。一方で、単成分液晶にアルカンを混合するための装置の開発が思うように進まなかった。この部分は今年度以降の課題として残されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
想定していたよりも順調に、装置の開発は進んだが測定系の準備がうまく行っていないため、液晶分子の自己拡散測定だけでなく蛍光色素の拡散測定を試みるなど測定試料を変更する必要がある。これに関しては現在試料を選定中であり、この試料を使って測定を行う。レイヤー構造及び、不純物の有無が拡散にどのような影響を及ぼすかが重要なため、この試料の変更は当研究の価値を失わせるものではない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度で購入予定だった顕微鏡など観測系システムの購入を検討している。他にも、蛍光物質などの試料を購入する。
|