2014 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火の爆発性とマグマの変形集中の定量的関係の解明
Project/Area Number |
24740299
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40532213)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグマ / 脱ガス / 変形集中 / 火山噴火 / 変形実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマグマの流動・変形と脱ガス効率の定量的関係を明らかにすることで,火山噴火の爆発性を支配する要因を解明することを目的としている.本年度は以下の二点の実験を行った.まず,昨年度から継続してマグマ中の変形集中帯を模擬した実験を行った.この実験により,変形集中帯ではマグマが脆性破壊を起こすが,変形条件によっては(温度,変形速度など)マグマは再度粘性流動を開始することが示された.破壊と流動の繰り返しが,マグマ上昇や脱ガスに重要な役割をはたしている可能性がある.次に結晶と気泡を含んだマグマの流動・変形実験を行った.この実験の結果,マグマの脆性破壊は結晶を含むことで非常に誘発されやすくなることが分かった.そのため結晶を多く含むマグマ中では変形集中が発達しやすく,変形集中と脱ガス効率の関係は結晶度に大きく左右されることが分かった. 研究機関全体を通して新しく明らかにされた点を以下にまとめる.まず第一に,変形集中は集中帯での脱ガス効率を高める一方で,それ以外の部分の脱ガスを抑制してしまうことを発見した.また,変形集中帯では脆性破壊と粘性流動を繰り返す可能性も示された.このような実験的発見は火砕物中に見られる気泡組織や揮発性成分からも支持される.さらに,変形集中の発生は結晶度に大きく左右され,結晶度が高いほど変形が集中しやすいことが分かった.この結果は,溶岩ドームや溶岩岩尖によく発達する変形集中組織の形成を支持する.一方で,高結晶度マグマからどのようにガスが分離しマグマが緻密化したのか,不明な点が多く残る.今後,高結晶度マグマからのガス分離メカニズムの解明が必要である.
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